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明治28年春場所5日目 (二六新報/明治28.1.18)

○回向院相撲
・昨五日目、朝よりの曇天にもかかわらずかなりの大入なりき。
高ノ森小松山は、左に脇みつを引き右に前袋を取る、小松は右の上手にみつを引き止まらば釣らんと挑みたり、は敵の釣りを気構え腰を引きて挑む、水入りてより互いに挑みたれど勝負見えざれば遂に引分となる。
越ヶ嶽鬼鹿毛は、左を差して廻しを充分に引く、は敵の差し手に右手を引掛け寄らば懸けん、は寄りよせて投げんとしばらく挑み、より寄り進んで来る出鼻を引ぱづして引いたる左に力を籠め逆投を打つ。
今泉小天龍を突出し。
天津風大戸崎は、天津左を差してみつを引く、大戸右の上手にみつを引き二三合挑む、大いに大戸より寄る天津一寸堪らえとたんに大戸が内枠を見せて捻らんとして残り、大戸がしきりに攻立てたれど天津の体を左右にかわして防ぎたれど、堪らず遂に大戸が内枠を掛けて逆に捻り倒す。
外ノ海谷ノ音は右四つの大競り合い、より寄り進むを土俵際堪らえる、が寄して釣らんとすをの蹴返しを見せて防ぐ、少しくいらちて右手に力を籠めて釣出さんと進むを、の土俵際に一寸捨身を見せて同体に倒る、団扇はに上げしも勝負は預りとなる。
小錦鳳凰は、立合にが左手にハズをかって押切る。
・中入後、大泉升ノ戸は、立合にの差したる諸手にが貫抜を掛けて極め出し。
一力両國は手先に挑み左四つに組み、一力より寄り進む出鼻を両國が一寸堪らえて打ちしカタスカシ見事に極まる。
若湊唐辛を押し出し。
海山梅ヶ崎は、立合に突合い海山より勢いよく突いて行くを、が土俵際にて廻り込み今度はアベコベにより突掛け突出して勝たるはの大出来と云うべし。
響升出羽ノ海は、すぐ左四つに組み土俵央に立たるまま、さしも動かず水を入れて引分となる。
千年川鬼ヶ谷は、突合て右四つに組み大競り合にせり合い、より一寸外掛けを見せて土俵央に居直り水入り、又も烈しく競合うさまはあたかも田舎場所に見る初切相撲の如くなりしが、勝負の果しなければ遂に引分となる。
朝汐は立合に大纒の前袋を取てより切り。
北海大碇は右四つに組み、より切り大碇の勝にて打出したり。

西ノ海は前日まで快調でしたが、どこか痛めたのか休場してしまいました。残された上位陣の小錦、朝汐、大碇がよく頑張っています。今日一番の殊勲者は新入幕の梅ヶ崎でしょう、売り出し中の海山を逆転で下しました。値下げの効果もあったか客入りの方は順調のようですね。明日からは人気者の大砲も出場してきます。

明治28年春場所星取表
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【2008/02/29 21:24】 | 大相撲 | コメント(0) | page top↑
明治28年春場所4日目 (二六新報/明治28.1.17)

○回向院大相撲
・昨日の四日目は地獄とやらにも釜の蓋の開けてどんたくをすると云う賽日、殊に藪入り子供の朝まだきより今日を限りと詰掛けたれば、はや正午頃には立錐の地も余さざる程の大入なりき。
升ノ戸天津風は、立合にがさしたる左の手を泉川に撓めて撓め出し。
越ヶ嶽両國をハタキ込み。
唐辛海山は、立合にの差したる左に海山片貫抜を掛けて絞り上げ、辛子のこりゃ堪らぬとためらう所を逆に捻りて残る機会、は右に前袋を取り体を落して一生懸命に防ぎて二三合攻め合うと見る間に、海山敵を起こして右を差すやいな烈しく攻め立て辛子の体を土俵際に入替えんとするとたん、捻りて見事に突落したるは中々の大相撲。
大纒北海は、左四ツに組み北海寄り切て勝。
鳳凰朝汐は、両人ともこの一番の大事にかけしと見え仕切りたるまま容易に立上らず時間を費す四十分余り、ようやくにして立上るやいな鳳凰左を差して横みつを引く、朝汐上手に廻しを引きつつするどく土俵際により進み、の踏み堪える所をかさにかかりて寄り倒したれど、いまだの体落ちざる先にに踏み出しありと西溜りより物云いを付け、検査役共協議の末ついに預りとなる。
大碇今泉は、烈しく押合い押切ての勝は見栄え無き相撲。
鬼ヶ谷西ノ海は、立合にがささんとする左を取て例の泉川に撓めんとするも、はその手はいやだと引ぬいて又も左をささんとす、西はなんの面倒なと云わぬばかりの面持ちしつつ両の二の腕を取って横薙ぎ出す。
・中入後、鉞り一力鉞りの左さしに一力右手を引かけ左を矢筈に掛け、揉み合い水入りて引分となる。
鬼鹿毛高ノ森は、左を差してより切り。
小松山若湊は、突出しての勝。
梅ヶ崎大達を突出し。
出羽ノ海外ノ海は、突き合って出羽突負けすでに危うかりしが辛く残して、今度はあべこべに出羽より突き掛け遂に突出して出羽の勝。
小天龍千年川は、手先に競り合い押出し千年の勝。
谷ノ音響升は右四つの廻し引き、互いよらば釣らんと競り合いが釣らんと体を寄せて来る所を、が右の内掛けにてもたれこむ。
大戸崎小錦は、左四ツに組み二三合挑むうちがよらんとするを大戸の防ぎ止めんとせし時、の外掛して巻き倒す。

朝汐vs鳳凰は好取組、待ったの多い力士ではないと思いますが仕切りに四十分もかかったというのは双方がこの勝負にどれだけ賭けていたかの表れでしょう。朝汐が優勢に攻めましたが鳳凰の粘りに遭って預かり。現在なら取り直しとなって場内盛り上がる場面でしょうか。ともあれ両力士の気迫が垣間見える取組でした。かつての名大関・大達は新入幕の梅ヶ崎に敗れて翌日から休場、いよいよ老境の極みを感じます。谷ノ音が得意中の得意である足技で勝てば、小錦も負けずに足技を決めて結びを締めました。

明治28年春場所星取表

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【2008/02/27 23:07】 | 大相撲 | コメント(0) | page top↑
明治28年春場所3日目 (二六新報/明治28.1.16)

○回向院大相撲
・昨日の三日目は天気風も無く朝よりの快晴にて前日よりも客足繁く、殊に藪入小僧の来観者も多くまづ八分の入りと見たり。
高ノ森升ノ戸は、始めの差したる左を升ノ戸がしぼり上げて攻立る、体をよせて防ぎつつほぐれての右をささんとする機会、両手をあてて押切らんと進みよる所をが敵の押力を利用して見事に抱き投げを打ちたれど最前踏切りなりて団扇はに上がる。
両國天津風は、両國の左差しを泉川に撓めて揉合いたれど勝負の見えざれば遂に引分となる。
梅ヶ崎越ヶ嶽を突き出し。
響升小天龍は、左を差す小天その手をささえる所をまた右を差す、小天その手に閂を掛けて防ぎ、ほぐれし手先に挑むうちより無二無三に寄り切て勝。
鳳凰北海は、立合にすぐ左四ツ手につがい双方勢い込で競り合い(この時場中拍手大喝釆)北海の気込んで寄り進みたる時の土俵を割りしと見る間に辛く残して寄り戻す機会、双方差し手を抜き二三合突合しがの突き手強く、突き出して勝。
小錦鬼ヶ谷は、ヤット立つやいなが突出す拳固の鉄砲一突き半。
西ノ海出羽ノ海を苦も無く押切る。
・中入後、若湊鬼鹿毛を押切り。
大達唐辛は、立合に手車を組みて競り合い離れて二三度押合ううちより押掛るを辛子が堪らえる機会、が肩すかしを打て稔る。
外ノ海小松山は、立合にが左をさして寄る。
今泉大纒は、ヤット立つやいな左四ツに組むよと見る間にを央に釣り上げクルクルと振り廻して土俵外に置く、これがほんとうの振りと云う手だ。
朝汐大戸崎は左四ツ手の大競り合い、より突き離したれど又パッタツ左四ツに組み双方勢い込んで攻め闘う様の面白さ(この時観者は一同に拍手喝采)かくと見る間に朝汐いらちて一押に押出さんと寄り進むを大戸の堪えるとたん、の見事に突落したるは当日第一の大相撲なりき。
海山大碇、突合い突出しての勝にて当日の相撲を打出す。

上位陣は至って順調、内容的にもここまで安泰な3日間というのは珍しいです。怪力の今泉、大纒を振り回しながら吊り出しとは豪快そのものですね。外ノ海、響升も3連勝と上位力士の好調さが目立ちます。そんな中、記事からは洩れていますが長年の人気力士だった司天竜、かつての鶴ヶ濱は不調で3連敗、これを最後に引退となります。

明治28年春場所星取表

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【2008/02/25 22:09】 | 大相撲 | コメント(0) | page top↑
明治28年春場所2日目 (二六新報/明治28.1.15)

○回向院大相撲
梅ヶ崎今泉は、手先に競り合い左を敵の胸にあてて押出し。
大戸崎一力は、左四つに組みて揉み合い水入りてのち寄り切て大戸崎勝。
唐辛外ノ海は、立合に辛子より突出す右手をたぐり込みつつ廻り込みて突き倒す。
大纒玉龍は、立合にが差したる右手をかかえ込み右足を上げて蹴返さんとせし一刹那、の寄り身早かりしための仰向けに倒る。
朝汐小松山は、左四ツに組みて挑むうちより打し掬い投げ、残りてまた二三合挑むと見る間により打ちし上手投の見事に極まる。
大碇大達を苦も無く突出し。
司天龍西ノ海は立合に司天左を差す、西その手を取て撓め出す。
・中入後、鉞り高ノ森は左四ツに組みて挑み、より寄り倒す。
鬼鹿毛響升は、左四ツに組みて挑むうちが腰を落して上手に力を籠め釣り上げて持出さんとせし時、の右足を外掛けして防ぎたるため哀れやの腰砕けて敗を取る。
笹島北海は、立合に左を差し北海その手を泉川に撓め、残るとたんすかさず小手投げを打つ、また残る機会に北海より寄り切る。
鳳凰海山は両人とも当時日の出の花形相撲、二人の土俵に入るや場中贔屓声湧く如し、斯くし両人は行司が引く団扇と共にヤッと立上るやいな互いに勢いこんで突合いしが、遂にの突負けて海山の勝は中々面白き勝負なりき。
出羽ノ海千年川は、出羽千年の右を取て泉川に撓めた折までは勇しかりしが、何思いけん右足を上けて外掛けを試みたるため千年の体をアビセ掛られて腰の砕けたる様の見悪しさ。
谷ノ音若湊は、左四ツに組み大揉みにもみ合い勝負を争ううち、が土俵際に打ちし掬い投げの見事に極まる。
小天龍小錦は、立合にすぐ突出し当日の相撲を打ち出し。

高砂浦五郎の英断
・幕政の昔、武士道の盛んなりし頃は相撲社会は大小諸侯の庇護を被り一種特別の興行として士民にもて囃されしが、近年に至りては全く普通見世物同様の姿となりて追々衰退の状況を呈するより、斯道の者共は大いにこれを憂いこれに応ずる救護策としてまづ相撲組合を会社組織とし六十人の年寄より年々五十円づつを集め、更に毎興行純益金の中より幾分を出して積立資本金として明治二十年頃までにはその額数千円に上りしが、その後損耗の引続きたるより追々資本金を消却し特に昨年一月の本場興行には大戸平大砲とが欠勤せしため思い掛けざる損耗を生じ、次いで五月興行には西ノ海小錦の負傷欠勤のため又々損耗を生じ、当興行もまた大戸平大砲等の病気引より世間の人気を落したれば結局幾分の損耗となるは今日予め覚悟の上とて、取締なる高砂浦五郎は先頃相撲協会の席上において此の損耗に備えんためなお五十円づつ各年寄より拠集すべしとの議案を提出したれども、相談兎角一決せず更に三十五円づつ都合二千円の増額を要求したれどそれさえ不服の者多かりしより、高砂も今は是非なしとて更に改めて幕の内及び幕下十枚の力士には定めの給銀を与うるも幕下十枚以下及び年寄は無料の事とし興行に純益ある時に限り定めの給銀以内において幾分を支払うべしとて、ここに相談一決し初めて当興行に着手せしため例年よりは初日も遅れたるなりという、この方法にても永続し得べくんば相撲道の基礎は後来いよいよ鞏固となるべくかの高砂が臨機応変の処置、流石に感心なりと或る相撲通は語りぬ。

土俵の方は順当に進んでいるようですが、運営の方は思った以上に苦しいようです(;・ω・)やはり上位陣の休場は人気に響いています。不景気という記事もありましたが時代は日清戦争の最中であり、そういった影響もあるのでしょうか?人件費のカットという策に出ますが果たしてどうなるでしょうか、力士や年寄衆の不満が溜まらなければよいのですが・・
明治28年春場所星取表

西前頭13・唐辛多喜弥

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【2008/02/22 22:03】 | 大相撲 | コメント(0) | page top↑
明治28年春場所初日 (二六新報/明治28.1.15)

○回向院の大相撲
・一昨十三日より開場、当日日曜日なりし故か興行初日としては近年に見ざるほどの大入なりき、殊に当場所は土間桟敷の場代を割引し特別席一人三十八銭を二十五銭となし、一等席の二十五銭を二十銭に、二等席の十五銭を十銭に、三等席の七銭を三銭に減し木戸銭の一人十銭は例の如くなれど新たに子供札を六銭に売り出したるは是までに見ざる破格なり、かく場代を減したる一の原因は西の大関大戸平等の病気欠勤と世の不景気を年寄共の洞察せしによるならんか、さて例によりて当日の勝負及び勝負の評を左に掲ぐ。
海山笹島は、立合に海山の少しく立ち後れたるにも構わず左四ツ手に組み、二三合挑むと見る間に海山敵の差したる左に右手を引かけ、ひと捏ねこねて捻ぢ倒したるは小手投のまがい、こねなげなり。
北海出羽ノ海は、立合に北海より突出す右手を出羽がたぐりこんで一本背負いを打たんと背負い掛かる機会北海の体を充分にアビセ掛てモタレ込みたるため、哀れむべし出羽の腰砕けて敗を取る。
鳳凰高ノ森を苦もなく突出し。
千年川唐辛は、右四ツに組み二三合挑むと見る間に辛子千年を釣上げて一廻りながら釣出さんと土俵際まで寄りすすむ、千年の右足土俵にかかるやいな左足に外掛して組みたるまま千年上になりて倒る、団扇は千年に揚がる、辛子より無理に物云いを附けて預りとはなりたれど勝星は千年の物。
越ヶ嶽谷ノ音を立合にすぐ押切る、けだしの立ち後れなり。
小錦小松山は、立合に小錦左を差して寄り切りたるは見栄えなき相撲。
西ノ海小天龍は、手先に挑み西より寄り進むを小天の引きはづして逃げんとする一刹那、西が左にはじきたるため哀れの腰砕けて敗を取る。
・中入後、玉龍升ノ戸は立合にが突出す右手をたぐり、土俵際に体を入れ替えながら突出したるは綺麗な相撲の手。
響升は、司天龍の左手を取て寄り切り。
大達大戸崎は、左四つに組み大揉みに揉み合い、水入りて又も揉み合いたれど勝負のいつ果つべくとも見えざれば遂に引分けとなる。
外ノ海梅ヶ崎は、はじめに二三合突き合いの両手をの胸にあてて土俵際まで押し付る、の土俵に足を踏掛け押し返さんとするとたんの引戻しながら又も諸手をあてて土俵際に押付け、アワヤ今ひと押しと云う一刹那、の体を入替えながら右手にの高股を取て見事にウッチャル、の二度まで敵を土俵際まで攻め寄せ思わざる敗を取りしを残念に思いしか、物云いは付けたれど預りと披露せしは土俵の上だけ。
一力大纒は手先に挑む一力より寄り進む、が土俵に踏みこらえる機会一力右手にの高股を取り、渡しこまんとする所をがかさにかかって押潰したるは気の毒にもまた哀れなり。
朝汐鬼鹿毛は、が左をさして寄て来る所を一息と突き飛ばす。
若湊大碇は、立合には体を潜め両手をの胸にあてて押出さんとす、のあてたる諸手を下より軽く押さえ付けてヂリヂリと土俵間近まで押し付けたり、のコリャ堪らぬと当てたる手を引ぬきながら左にかっぱじかんとせしかど、この時遅くの体をあびせ掛てモタレ込みたる手の早く、遂にの土俵を割ての勝相撲となりしは中々の大相撲なりき。

今場所は入場料金がかなりの値下げ、子供料金も新しく設定されました。こういう細かい改革は明治相撲界の得意とするところです。西ノ海と小錦が元気に登場していずれも持ち前の取り口で勝利。見栄えの無い相撲というのはあっけなく一方的に決着がついてしまったという意味でしょう。西方は大戸平と大砲が休んで新関脇の大碇に重圧がかかります。新入幕の一力と梅ヶ崎(うめがさき)は健闘むなしく黒星発進。

明治28年春場所星取表

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【2008/02/19 21:48】 | 大相撲 | コメント(0) | page top↑
明治27年夏場所千秋楽 (二六新報/明治27.5.27)

○回向院大相撲
・当日三役の八ツ房猫又は、の右さしを八ツ房は巻き込みて挑み下手投を打て勝。
笹嶋当リ矢は、突合いて突出し当リ矢の勝。
関ノ音狭布里より左をさし、右を首に捲き両足を両掛して敵を巻倒さんとせしが、潰れて関ノ音勝、弓取の故実は相生勝相撲関ノ音に代わりて演じ、当本場興行千秋楽を告ぐ、勇まし勇まし。

○赤十字社慈善相撲
・六月一日より五日間、回向院境内にてする由。
○相撲の病に付ける薬
・近年一月五月の本場所相撲興行毎に、撲殺しても死にそうもなき力士共が触れ太鼓の音を聞くとにわかに大勢病者の発生すること場所毎に流行せり、当場にもすでに西ノ海小錦をはじめとし響升玉龍谷ノ音司天龍達ノ矢高ノ戸小天龍と幕の内ばかりにて九人あり、中には実際の病気もあるべきなれども多くは仮病なるべし、しかるに不思議やこの病者が十日目のやぐら太鼓を打切ると共にケロケロと平癒して、翌が日市中にまれ横浜にまれ花相撲の興行が始まると共に恬として病気あがりの様子も見えずなりぬ、ある人この病原をドイツ帰りの毒取先生に聞く、先生曰く病者につきて一診を要せざれば断言すること能わずと、それ然り、ある人また(主人)雪の屋に問う、主人得意然として答えて曰く、主人すら一診を要せずしてこの病原をよく知れり、これは経妻呑衣癌と云う性にして太鼓の音を聞いた位で発する病性にあらず、彼等巡業中打つ呑む買う三拍子のために日々得る資よりも消費する資の多く、借金を質に置いて遣う位はあり、うちの事しかして本場前帰京するや人並みに新衣新調の資もなくして、押して出勤するも得る給銀は契約になりて人のものなれば見っともなき姿と外聞とを憚りて起こる病なり、これを治す妙薬主人の発明薬あり、発明とて主人の家にて製造するものにはあらず、大蔵省の田尻さんや本郷の田口さんが口伝の蓄財薬タメロー丸を製し、これを服用して給金外に得たる纒頭をいづれの国にもある郵便貯金局に預け、そして帰京して見よ、太鼓病の発する憂いなき事をきっと保証するなり、この処方がすなわち相撲の病に付ける大妙薬なり。

今場所も無事終了、十両上位では一力(いちりき)が勝ち越して翌場所に入幕となります。さて場所前に相撲の技を解説していた雪の屋さんが登場して本場所を休みがちな力士達に意見を述べています。いろいろな人が出てきますが、毒取(どくとる)先生というのはおそらく架空の人物でしょう。時代も今とは違うので豪快に散財してしまう力士は多かったことと思いますが、副収入を貯蓄するというこのアイデア、現在の懸賞金において似たような制度が実行されており興味深いです。
ニュース専修(田尻稲次郎)
近代日本人の肖像(田口卯吉)

明治27年夏場所星取表

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【2008/02/14 00:48】 | 大相撲 | コメント(0) | page top↑
明治27年夏場所9日目 (二六新報/明治27.5.26)

○回向院大相撲
雷山狭布里、右四つが腰投げ打たんと腰を入れるとたん雷山クルリ廻り込み後ざまに抱き出す。
大泉小天龍、押合て小天引落して勝。
鳳凰唐辛は、立合に辛鳳の右を引ぱり込み一本背負いを打たんとするを、こやつめ生意気な事をすると云わぬばかりの面持ちしつつ左手にて苦も無く突飛す。
越ヶ嶽鬼ヶ谷は、左四つの廻し引き水入りて引分となる。(この時あたかも西隅の掛け桟敷に喧嘩あり、警官を張して引分たるも可笑)
今泉大纒は、左四つに組みせり合いに追い立てられ、苦し紛れに上手投げを打たんとせしの足踏み出しありて負。
大蛇潟大碇は、右四つに組み大蛇充分腰を引きすまいは敵を起こして寄らんと挑みて水入り後、がなおも起こしてよらん大蛇はここを先途と防ぎ遂に引分となる。
朝汐大戸平は、これぞ当場中第一の好取組なれば観者はこの勝負如何ならんかと固唾を呑んでその立合を待ちたり、立合い大戸の右差しを気に掛け容易に立たずようやくにして立上るや、左四つに組みて競り合い寄りつ寄り返しつ大相撲となる、大戸の寄りをの堪らえて寄り返す機会、組替えて右四つになりより追い込んで行く大戸コリャ堪らんと捨て身を見せるとたん体をもたれ込みたるは、まづ当場第一の大相撲と注すべし。
高ノ森一力は、左さしの下手に一力右の上手に廻しを引き、より寄らんと挑み水入りてより両人少しも動かず引分を待つものの如し、勝負のいつ果つべくとも見えざれば遂に引分たり。
高浪鬼鹿毛は、の左差しその手へ右手を引掛け足癖を巻いて残り、小手投げまた残る機会寄り切て勝。
天津風出羽ノ海は、左四つに組み両人なす事も無く土俵の真中に突立ちたるまま動かず、水入りて引分となる。
不知火大達は、立合に不知火より出す左を泉川に撓めて攻め立てる、不知火撓められし手を筈にかいて防ぐ、水入りてよりなおもより攻め立てたれど勝負の見えされば遂に引分となる。
海山両國は、立合海山に突掛る両國敵の突きに恐怖せしと見え、あろう事か土俵外まで逃げ出して敗を取りたるもおかし。
北海大砲は、右を差して下手投げを打つ、哀れや北海潰れて敗を取る。

最終日は慎重になる力士が多いですが、今場所も引き分けの目立つ九日目となりました。大碇は引き分けで今場所7点の勝ち越し、土付かずと立派な成績でした。朝汐も同じ7点勝ち越し、横綱大関のいない東方で見事に責任を果たしたと言えるでしょう。当時としては優勝の概念そのものが無く、記事でも誰が最優秀であるといった記述はありません。白星の無かった新入幕の両國は最後も冴えない負け方、翌場所十両に下がり再入幕は出来ずに終わりました。

明治27年夏場所星取表

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【2008/02/10 21:37】 | 大相撲 | コメント(0) | page top↑
明治27年夏場所8日目 (二六新報/明治27.5.25)

○回向院大相撲
小天龍雷山は、突合い突出して小天勝。
鬼鹿毛狭布里は、下手投げの打損じ腰砕けて負。
唐辛天津風は、の左差しを天津引上げて挑み組み替えて手車、ほぐれての右差し天津は寄らんは捻らんと揉み抜き、水入て引分。
出羽ノ海大泉は、立合にが待手をする数回なして観者を困らせし罰でもあるまいが、立合うと直ぐ出羽が右を差して寄り切り見物大笑い。
大達海山は、立合に直ぐ海山の突出しとは見栄えなし。
大砲高浪は、左四ツに組み大砲捻らんとして残りなおも追打ちに首鉄砲を喰わせて捻る。
大戸平外ノ海は、立合に右を差す大戸その手を左手に巻き上げて横なぐりに押出は是非もなき勝負なり。
両國笹島は、突合いて二三合挑み両國が左を差して寄り進むを、が堪えて敵のさし手に右を引掛け見事に小手投げを打つ。
鬼ヶ谷不知火は、より突いて突いて突きまくり突出して勝。
大纒大蛇潟は、直ぐ左四つに組み大蛇より進んで来る所を、体を一寸かわしながら上手投げを一ぱいにうつ。
谷ノ音北海、左四つにのさし手を右手に引掛け、右足に内掛けして巻き倒さんせし時、北海さし手を突き付け体をもたれこみて勝。
大碇朝汐は、左四つ烈しく競り合いより寄り進みの堪らえる所を掬い投げを打ちて、残るとたんより打返したる掬い投げの見事に極まりたるは当日第一の大相撲なりき。

・八日目取組中、今泉高ノ戸の首前々の相撲に痛めたために、それに高ノ森小松山越ヶ嶽大戸崎鳳凰、片屋に病者ありでいづれも休み。

休場者がますます増えて今一つ盛り上がりに欠ける感じですが、朝汐と大碇の好取組は大碇が制して唯一の土付かずとなりました。今場所の快進撃は目を見張るものがあり、大関候補として一気に浮上してきました。入幕の頃は脚光を浴びた巨漢大砲は力強い相撲は相変わらずですが星はあまり上がっておらず、やや影が薄れてきた感じもします。大泉は相変わらずの待った連発で観客を敵に回していますね(;・ω・)

明治27年夏場所星取表

西大関・大戸平広吉

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【2008/02/06 20:58】 | 大相撲 | コメント(0) | page top↑
明治27年夏場所7日目 (二六新報/明治27.5.22-23)

・昨日すなわち七日目は、一昨日と違い来観者余程少なく東桟敷に柳橋の紅君列をなし居たるは同所の総見物なりし。
一力両國は、突出して一力の勝。
不知火狭布里は、右四ツに組み不知火より寄って釣出し。
大泉響矢は、左四ツの廻し引き互いに釣らんと挑み、水入り後両人とも組みたるまま引分を待つものの如し、よって行司が望みの通り引分たり。
天津風鬼ヶ谷は、突合い押合い巻き込み巻きほぐし、烈しく挑みて左を差す、水入りてより獅子奮迅の勢いをあらわし攻め立てたれど双方取り疲れたれば遂に引分となる。
越ヶ嶽高ノ戸は、はじめ押合ううち引上げて鰓にての頭を押さえ付けて寄らんとすれば蹴かえす、の組手は充分なれど進む事能わず水を入れたるに、の首骨を痛めたりとて引分となりしは残念。
鳳凰大達は、立会に右を差し左を当てて押切。
外ノ海大碇は、突合てのハタキ残ってより寄る、土俵際に辛く残してより差して来る手を引ぱり込んで押して行く、が堪らえるとたんに見事に引落したるは面白き相撲。
今泉谷ノ音は突合て手車を組み、隙を窺いパッタリ左四ツの廻し引き、櫓の釣り合いより寄り進むなどいづれも残りて水入り後、大揉みに揉み抜きたれど勝負のいつ果つべくも見えねば遂に引分となる。
朝汐大纒は、左四ツに挑みより倒して朝汐の勝。
高ノ森小天龍は、立合に小天の右を引張り込み一本背負いを打たんとして残り、クルりと廻りて手車を組んで隙を窺ううち又もが一本背負いを打たんとする機会、小天引きはづして送り出したるには場中大笑い。
雷山唐辛は、立合に入れ違い勢いよく押て行く時、行司の体に突き当てたるため唐辛の体土俵際に残るとたん、がハジキて勝。
大蛇潟出羽ノ海は、出羽が突張りて進む、大蛇引きはづして左を差してもたれ込む。
高浪小松山は、左四ツに組み寄り切て勝。
海山鬼鹿毛は、左四ツ左右の手を襷に巻く、海山相手を巻きこんで引立て行かんとす、襷をほぐして左四ツ打ちたり首投げ利かず左に内掛けして巻き倒さんとする時、海山逆投げを打て勝。
北海大戸平は、右四ツに組み北海の首投げ、残る機会に大戸烈しく寄り進みたれば北海足癖を巻きて防がんと腰を斜めにして来る所を、無造作に抱え出したり。

目まぐるしく、色々な技が連発されるのが明治の相撲の特徴とも言えましょう。この日も決まり手にはなっていませんが多くの技が出てきました。観客は減り気味のようですが、こういう熱戦を続けるのは大事なことですね。越ヶ嶽vs高ノ戸は記事では痛み分けのようですが星取表は越ヶ嶽の勝ちとなっています。棄権による不戦勝でしょうか・・?唐辛は行司の体に助けられて逆転勝利ですか(;・ω・)珍プレーですね。

明治27年夏場所星取表

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【2008/02/04 18:37】 | 大相撲 | コメント(0) | page top↑
明治27年夏場所6日目 (二六新報/明治27.5.22)

○回向院大相撲
・一昨日の六日目は朝よりの好天気と云い、殊に日曜日なれば人出の多く午後には土間桟敷とも売切れる程の好況なりき。
唐辛高ノ森は、唐辛の右手を取り一本背負いを打たんとす、一本背負いなら己れの方が本家本元まっぴら御免と体をかわして引ぱづし、左手をの尻に割込み(汚ない汚ない)送り出さんとすまう、コリャ堪らぬと体をクルリと廻しパッタリ右四つに組み(この時場中大喝釆)は寄らんは釣らんと挑み、遂にが釣出しての勝、中々面白きすもう。
鬼鹿毛大蛇潟は、立合に大蛇左を差してまたその手を巻きこんで右足を内掛けして巻倒さんとせしが、己が腰砕けて敗を取る。
鬼ヶ谷は立合に雷山を引落し。
小松山今泉は左四つの大競り合い、が釣り上げて土俵際まで行く、小松がコリャ堪らぬと内掛けして体をもたれこんだため体同体に落ち、物云い付きて預となる。
大纒鳳凰は当日二三好取組の一にて、観者はこの勝負如何あらんかと固唾を呑んで待ち居たり、両人の立上るや二三合突き合いの苦も無くを突出したるは見栄えなき相撲にこそ。
大達千年川は引分け。
大戸平若湊は、右四つに組み一息に寄り切りたるはアッケ無き相撲。
・(中入後)大砲海山は、二三度突き合いパッタリ左四つに組みが引付けて腰投げ打たんとする機会、海山体を斜めにしてもたれ込んだため哀れやの腰砕けて海山の勝。
外ノ海高ノ戸をハタキ込んで勝。
谷ノ音大泉は、立合にの汚なき素振りするをかねて得意とするよりが仕切る間を二尺程に譲り後ろの方へ下がりて仕切る、こうされるとのかえって立ち悪しきと見え指先にて土俵の砂に一文字を引き、ここまで出て来いと形容で催促するもおかし(見物大笑い)がそれなら出てやらんと前の方へ出て仕切りたるも、の容易に立たず待手およそ十四五扁、時間を費やす二十四五分間、見物はこの待手に厭き果てて手を拍って囃し立つる、検査役は叱るは少しく逆上して真赤になるなど倍々窮して立ち端を失いたるが、検査役等の叱咤に促されようやくにして立上るやいな右四つに組み、いらちてを宙に釣上げ土俵際まで風を巻いて持行きしが、の爪先土俵に掛かると見る間に見事には捨てられたり、この時場中の騒ぎたとうるに物無し、けだしこの騒ぎは勝相撲のを誉めるにあらでを冷罵するの声なりき。
大戸崎朝汐は、左四つに組みより寄り詰めて勝、日の相撲を打出す。

ユーモラスな取組二番、記者の突っ込みがなかなか面白いです。クリーンなイメージの関脇谷ノ音、休場していましたが復帰していきなりダーティな大泉との対戦。やっている方は真剣なのでしょうが何となく初っ切りを思わせるような面白さです。この時代は土俵に仕切り線が無いのですが、大泉が作ってしまいましたか(;・ω・)結果も善玉が勝ち観客の溜飲を下げてくれました(笑)最後は朝汐が締めて全勝を守りました。

明治27年夏場所星取表

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【2008/02/01 11:11】 | 大相撲 | コメント(0) | page top↑
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