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明治27年春場所6日目 (二六新報/明治27.1.12)

○回向院大相撲
・昨日の同相撲は殊の大入にて、取組の中にも大戸崎小錦に勝ちたるが本年第一の奇観にて愉快なる場なりき。
一力鳳凰は、中入前一二の好取組にて見物の気込みもよく何となく物騒がしき景状なり、かくて両人の立上るや五六度突合いは敵の左差しの得手なるを気構え差させじとすまう、こなたは左を差さねば勝手あししと入乱れて挑むうち、一力左を思うままに差し込み脇三つを引き攻め掛る、鳳凰も右手に廻しを引きよらばすまわんと挑み合ううち、一力右の手を放しながら出し投げを打つ、鳳凰こりゃ堪らぬと腰を突けて防ぎたるため、一力が三つを取りたる手の外れて思わざる敗を取りたるは残念なるべし。
小松山朝汐は、右四つに組みより寄らんとすまう、小松は敵の勢いをささえかね体を左右にかわして防ぎ止めんとす、朝汐左に力を込めて上手投を打って残る機会に諸手を差し釣出しての勝。
大纒西ノ海は、がこの相撲は一通りでは行かぬと注文せしにや立合より荒れにあれて、突掛る西は左右の手にをおさえ付けて進む、その手を引張り込みて泉川に撓め出さんとす、又もが振り放さんと荒れかかるをそんならこうだと首投に行く、がそれもいやだと振り放さんと体を廻すとたん西が横ざまに突飛ばしたるは中々の大相撲。
大泉高ノ戸は、かねてが注文を付けて相撲せしにや、がヤット左を差したる手を抱え込み、逃げながら引廻し土俵際に捻り倒したるは面白き勝負。
小錦大戸崎の相撲は、がまた例によって一突きに突出すかなど相手が相手ゆえ見物も冷淡に見過ごし、帰り支度しながらしかし勝負如何ならんかと立合を待つ、しかるにヤット立つや左手を一ぱいにさして寄り進むアワヤ大戸の土俵を割りしかと見る間に、さはなくして大戸土俵際にて体を廻しながら同じく左を差して残しつつ今度はあべこべに大戸より無二無三に押出さんと攻め立る、流石のもこの勢いに辟易せしかささえながら土俵を二三歩横に渡りながら防ぎ止めんとすまう、大戸がなおも一生懸命に烈しく押掛るゆえの防ぎかね大戸を鷲掴みに掴みて左に見事うっちゃりたれど、この時遅くもの踏み切り早く、行司はの踏切を見損じ大戸の突き手を見て団扇をに上げたるため西方の溜りより物云いを付る、見物は総立ちとなり行司を罵り煙草盆を投げ座布団を飛ばし布団は土俵の上に堆積して岳をなし、中にも気早の酔客は行司に迫らんとする様未曾有の大騒ぎ、数名の警官は土俵の廻りを警固して検査役の相談を保護するなど実に筆紙に尽くし難き騒ぎにてありき、検査役共は東西に奔走してようやくこの勝負に付き行司の見損じたる事を判定し、改めて大戸崎に団扇を上げる、力士行司警官等の保護を得て各々部屋に入りたるも勝負付を売り出すまではなかなか騒ぎのしづまらざりき、勝負付を売出してより観客もようやく静まりて太鼓の音と共にテンデンバラバラ。

冒頭にも記されていますが大戸崎が小錦を撃破、会心の相撲なのに行司の誤審騒ぎで大変なことになりました。結果的にはきちんと白星をもらえて大戸崎もホッとしたでしょう。現在でも座布団が飛ぶことはありますが行司に迫る観客というのはちょっといませんね(;・ω・)全勝は西ノ海と鳳凰、大達は白黒なしの5分け1預かりという極めて珍しい成績で来ています。前日の記事に書かれたように引き分け狙いなのでしょうか?

明治27年春場所星取表
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テーマ:大相撲 - ジャンル:スポーツ

【2007/12/31 02:28】 | 大相撲 | コメント(0) | page top↑
明治27年春場所5日目 (二六新報/明治27.1.11)

○回向院大相撲
・一月の大相撲は、去る三日初日なるも風雪のため休日多く本日にてようやく六日目なるも、出世興行なれば贔屓連は初日より腕をさすって詰めかけ詰めかけ日々大入を占め居れり、初日以来一昨四日目までに主なるものの勝負を見るに、小錦西ノ海は流石に未だ土付かず、又昨日までの大出来は鳳凰にして初日以来未だ一日の負なく、大戸崎も上出来なりしが昨日西ノ海に敗を取れり、案外不出来なるは朝汐なるも日なお浅ければたやすくは評し難し。
海山鬼鹿毛は、立合に飛び違いざま海山左をさす右の手を敵の首に巻き左の差し手を合せて襷に抱き込みて隙を窺う、海山より寄り進むやは堪らえて寄り返さんと出て来るとたん、海山右手に高股を取て捻り倒す。
越ヶ嶽御用木は、これも立合に飛違いざま左を差す御用木その手を泉川に撓めささえながら一卜廻りするよと見えしが、は撓められし手を敵に突付けて右手に高股をとりて渡しこむ。
玉龍は、出羽ノ海に右をさして寄り出し。
高ノ戸小天龍は、はじめ手先にせり合い挑むうち、が敵を軽く見て一本背負を仕掛けたるとき、小天体をよせて防ぐとたんの後ろミツに手を掛け送り出さんとす、はこりゃ堪らぬと体をクルリと廻して手車を組み(この時場中破るるばかり騒ぎ)て窺い合うて、水を入れ元の如く組み離れては組み挑みたれど勝負のいつ果つべきとも見えねば遂に引分たり。
鳳凰大纒は、立合うやいな鳳凰より進みよりて突倒す。
大達司天龍は、立合に左手をの脇にあてる、その手を左手にて押さえ付け右手に司天が二の腕をつかみて挑む、暫時にして水を入れて元の如く組む、司天はいつまでかくてあるべきぞと突放したれど取り手都合や悪しかりけん、また元の如く組みたれど勝負見えざれば引分となる、けだしが本場初日以来退守策を発明せしか組みたるまま土俵中に突立ち毎度引分を待つものの如し、思うに勝が多しとて大関になる望みはなし、まづこうして居れば番付の下る気遣いもなしと云う様な考えでも起しはせぬか、万一それがそうなれば大達も老いたりと云わん。
千年川鬼ヶ谷、突合い互いに巻き込み挑み合ううち鬼ヶ谷左手を千年川の胸にあてて押掛る、千年川体を左右にかわしながら左手に前袋を取る、も同じく前袋を取らんとさぐり掛るとたん千年左手の力を籠めて見事に捻り倒す。
外ノ海谷ノ音、右四つに組みて挑むと見る間に、より体を寄せつつ右足を外掛けして左手を突張りて突倒す。
小錦小松山は、小松よりヤッと声を掛けながら左を掛して立掛る応といらえて同じく左を差すよと見えしが、ひたひたと寄進む小松こりゃかなわぬと土俵際にうっちゃりを見せたれど、そんならこうじゃと右の足に外掛けして突倒したるぞ是非もなき。
大蛇潟知恵ノ矢は、右四つに組み合い水入りて分。
若湊大泉は、立合すぐ左手を矢筈に掛けて突き掛る、こりゃ堪らぬとその手を取りて左に払いながら体を迫り込みて押出し。
北海一力は、立合に北海体を潜めながら足を取らんとすまう、一力そりゃいやじゃと飛び退きながら一突き突く、突かけて北海の体を立直さんとせしかどはじめに浮立ちたる足の踏みとどまらず、一力すかさず付入りて押し出す。
響升高浪を捻り倒す。
今泉大碇は、当日二三好取組の中なれば両人の土俵になるや贔屓声沸くが如し、かくて両人形の如く仕切り立上るや手先に競り合い、早くも左をさし無二無三に寄らんとす、流石のも防ぎかね寄り切りての勝となる。
朝汐天津風も当日二三好取組中一にかぞえし相撲なれば、観者のこの勝負如何あらんかと固唾を呑みて待つ間、程なく天津より立掛りて左をさして寄る、朝汐ナンノこしゃくなと云わぬばかりの面持ちしつつ引寄せ、右足に外掛けして突倒さんとして残るとたん右四つに組み、天津は左手に廻しを引き釣出さんず、このとき朝汐腰を落して残し勢い込んで上手投げをうつ、はこりゃたまらぬと足クセを巻きながら体をもたれこみたるため哀れやの体潰れて天津の勝は中々の大相撲にてありき。
西ノ海大戸崎は、立合に西大戸の左手を取りて例の泉川に撓め出す。

○力士と淋疾
・一年両度の出世相撲の前後、力士等はことごとく各地方へ出稼ぎし一年の大半はいづれも田舎で暮らすこととて、旅先のつれづれ随分遊び女買いなどする輩あるより、木石にあらぬ力士もいつか魔毒に悩まされ或いは淋疾を患い又は腫物を踏出して、あたら昔日の元気を失い、ために大切の場所に大敗を取るもの少なからねば、心ある年寄等は深く部下の力士等の品行に注意するよしなるが、昨年来淋疾を患うる者は京橋区南槇町見心堂医院にて新たに速治薬を発見せしと聞き同院について治療を求めしに、同院長も無邪気なる力士等の事とて懇切に療養を施しくれ、すこぶる好結果を得たりとて爾来同患者は見心堂医院の治療に預ることにせんと二三の年寄は云い居るよし、まづそれよりも品行の注意が肝要。(東京朝日新聞1.11)

平ノ戸は今場所から御用木(ごようぼく)と改名、江戸時代の関脇の四股名で由緒ある名前ですが白星がまだ出ません。今場所は十両でも改名によって両國(りょうごく)や不知火(しらぬい)といった名力士の四股名が復活しています。不知火は大阪相撲では年寄名として使われており現在に続いていますが、東京相撲では単なる力士名です。土俵上、鳳凰と大纒の全勝同士の好取組でしたが勝ったのは鳳凰。大砲が休場して西方はまた寂しくなりました。

明治27年春場所星取表

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【2007/12/28 00:14】 | 大相撲 | コメント(0) | page top↑
明治27年春場所4日目 (東京朝日新聞/明治27.1.10)

○大相撲四日目(昨九日)は朝から曇天なりしゆえ如何あらんと気遣いしには似ず、面白き取組もありしためにや中々の好景気にて、相変わらず近衛徳川の両公その他の貴顕をも多く見受け、初日以来の大入なりし。
鬼鹿毛大蛇潟は、大蛇左を差し寄らんとするをは防ぎつつ投げを打ちしも利かず、そのまま寄り切て大蛇の勝。
一力高ノ戸は喝釆の声裡に立合い、は一寸ハタキ諸筈にて寄り倒しの勝。
御用木若湊は、の差し手をは泉川に掛んとせしも利かず、右筈にて押切りの勝。
小松山北海は、二三合突合いは左を差し小松は右上手を引き、が寄り来たるを小松は二度まで危きを残しつつ投げを打ちしも利かず、大相撲となり水入後小松はまたもや投げを打ち一寸危うかりしも立直し、が遮二無二寄り来るを危うくも土俵を廻り寄り返す途端に投げを打ち同体に倒れ、団扇はに上がりしも物云い付きて預り、但し星は小松なりし。
出羽ノ海響升は、一寸突合い左四つとなり双方動かず水となり、のち暫くためらいつつ出羽は一寸寄らんとせしのみにて矢張動かず、ついに引分となれり。
大碇外ノ海は、右四つにてより寄来るをは堪えつつ土俵際にてウッチャリたるも先に倒れ大碇の勝となりしも、物云い付きて丸預り。
朝汐大戸崎は好取組なれば見物一同は固唾を呑み勝負如何と見てありしに、両力士は気合よく立合いスグ左四ツとなり、大戸は寄来るをは防がんとするを渡し込んで大戸の勝は大喝采。
大砲今泉は、左を差したるをは振り放して互いに小手先にて争いつつ、ついに左四ツとなりは寄切らんとアセリしも功なく、ついに押切って大砲の勝。
西ノ海鬼ヶ谷は、泉川にて振り放し西の勝。
・(中入後)小天龍雷山は、突出して雷山の勝。
知恵ノ矢海山は、左四つ知恵が足クセに行かんとするを突放し突出して海山の勝。
大泉越ヶ嶽は、左四つ双方釣り合いが必死と寄り来るを残し、水入後揉合いしも勝負付かず引分。
大纒玉龍は激しく突合い、突合ううちはハヂキては倒れしもに踏切ありての勝。
司天龍鳳凰は、突合い突き倒しての勝。
高浪千年川は、左差しにて寄り倒し千年の勝。
大達谷ノ音は、右四つにて谷得意の内掛をは堪える途端同体に流れ団扇はに上りしも物言い付て丸預り。
小錦天津風は、突出しての勝にて打出し。

天候に恵まれず、数日ぶりの開催です。今泉は先場所好成績を残しましたがその後脱走していたようです、番付から名前が消えていたのですがこの日から復帰、幕内格番付外で出場します。朝汐は昨日に続き完敗、どこか悪いのでしょうか?勝った大戸崎は好調で3勝目。谷ノ音はまたも預かりで今場所早くも2個目。
明治27年春場所星取表

西関脇・大砲万右衛門

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【2007/12/26 22:44】 | 大相撲 | コメント(2) | page top↑
明治27年春場所3日目 (東京朝日新聞/明治27.1.6)

○大相撲三日日(昨五日)は朝から雪を催し折々ちらつきて寒気も非常に強かりしかば如何と思いし見物も割合に入りがありて、且つ相変わらず徳川近衛の両公その他の貴顕にも多く来観されしが、午後よりは本降りとなりたるに入掛もやと気遣いしところ首尾よく取り切り一同大満足なりしと。
越ヶ嶽小天龍は、烈しく突合い突き出し越ヶ嶽の勝。
玉龍天津風は、双方暴れ廻り揉み合ううちトッタリにて見事玉龍の勝。
海山大纒は、烈しく突き合いは首投を試みし時、はイヤダと首を縮めたのでの手がスッポ抜け腰を突き大纒の勝は面白かりし。
外ノ海司天龍は、突き合い司天右をさし押切って司天龍の勝。
千年川小松山は、突き合ッて左四ツとなり揉み合い土俵際にて千年棄て身を打ち、同体に流れ団扇は千年に上りしも物言い付き預り。
若湊谷ノ音は、右四ツに渡り揉み合ううち合四ツになり、間もなく得意の足クセにて巻き倒し谷ノ音の勝。
小錦鬼ヶ谷は、立ち上るや突き出しての勝。
西ノ海高浪は、右さしにて押し行くを泉川にて撓め掬い投げて西ノ海の勝。
・(中入後)響矢知恵ノ矢は、突き合いて二本ざしとなり釣り出して響矢の勝。
大蛇潟一力は、一力が右筈を大蛇は左手に巻きつつ防ぎ揉み合ううち水となり、再びつがい挑み合いは小手投を数回試みたれど大蛇は必死と防ぎ、勝負に果てしなく引分。
大達大戸崎は、大戸の左筈をは巻きて揉み合い大戸は寄らんとしは下手投げに行きしも極まらず大相撲となりしが、勝負に果てしなく取り疲れて水となり、再びつがい挑み合い引分となりしは力の入りし相撲なりし。
北海大泉は、左ざしにて寄り切り北海の勝。
響升御用木は、の左ざしをは泉川にて撓め防ぎしも下手投げにて響升の勝。
鳳凰大碇は、一寸左四ツになりしが突放しは得意の右ざしに行かんとするを、はハタキが危うく残せしをすかさずハタキ込んで鳳凰の勝。
朝汐出羽ノ海は、の二本ざしを出羽は閂にて絞りつつ寄り倒し出羽の勝は案外。
高ノ戸大砲は、立ち上るや突落して高ノ戸の勝。

大戸平欠勤の理由
・西の大関大戸平が今度の大相撲に出勤せぬはどういう訳かと尋ねるに、同人は昨年の五月場所に小錦に敗を取りしより、この次こそは勝ちを制せんとの志をいだき昨年中より身体を養い稽古にも念を入れていたりしに、図らずも石痳病にとりつかれ男根を切りさきて身体疲労に及びたれば、大相撲へ出勤などは思いも寄らず、されども本人は勇気昔日に異ならず御贔屓の方々に対しても出勤せねばならぬと言いしかど、師匠尾車はイヤイヤさにあらず生中病気中の身をおして負越しにでもなる時はかえって日頃の贔屓に背くならん、とて堅く出勤を止めしかば、大戸平も遂にその意に従いしものなりとか。

雪の中の開催となりました。今とは違い屋外ですから、力士たちは寒そうですね(;・ω・)西方は期待の大碇と大砲が2敗目を喫する中、先場所好成績を残し初めて上位に躍進した大纒(おおまとい)が3連勝と気を吐いています。大達は今場所よく動けていますが3日連続引き分け。朝汐はどうしたわけかベテラン出羽ノ海に完敗してしまいました。

明治27年春場所星取表

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【2007/12/23 13:22】 | 大相撲 | コメント(0) | page top↑
明治27年春場所2日目 (東京朝日新聞/明治27.1.5)

○大相撲
・二日目(昨四日)は朝の内より照るかと思えば曇り、俗に云ううっとうしき空模様にて午後四時頃にパラパラと来しなど日和悪かりしため、見物充分ならずまづ八分通りの入りなりしが、例の徳川近衛の両公を始め貴顕方にも多く来観ありぬ。
音羽山雷山は、左四ツにて寄切って雷山の勝。
唐辛鳳凰は、互いに突張り合い突放しての勝。
天津風大達は、念入に立上り左四つとなり挑み合い、天津敵の上手を引き合四ツとなりまたも必死と揉み合いしが勝負つかず水となり、再びつがいは腹櫓にて釣らんと試みしも利かず、なおまた挑み合いしが取疲れ引分。
大戸崎北海は、は勢い烈しくシャニムニ寄らんとするを、大戸土俵際にて耐え寄返しのアセル所を突出して大戸の勝。
大纒高ノ戸は、烈しく突合い一寸左四ツになりしが離れては敵の前袋を引き、互いに秘術を尽くし挑み合ううち逆に捻りて大纒の勝は見事なりし。
知恵ノ矢響升は、左をさし寄切って響升の勝。
大碇大蛇潟は、は得意の右ざしにて突掛けるを大蛇は土俵にてウッチャリ大蛇潟の勝。
大泉朝汐は、立上るやの左さしをは片閂にて撓め押出さんと堪え寄り返し左四ツとなり、が釣り出さんとせしを土俵際にて堪えつつウッチャリたれど団扇は朝汐に上りしも、物言い付き土俵だけ預り。
大砲響矢は、手車にて挑み合い合四ツとなり、の寄らんとするを土俵際にてウッチャらんとせしも利かず寄倒し大砲の勝。
出羽ノ海西ノ海は、突出して西ノ海の勝。
・(中入後)鬼ヶ谷若湊は、一寸立ち後れしがそのまま立ちて二三合突き合ううち、突出し鬼ヶ谷勝。
小松山海山は、立上るや左四ツとなり互いに引付け寄らんと挑み合いしが水となり、それより小松の釣らんとせしも利かず上手投にて海山の勝。
小天龍外ノ海は、小天左さしにて内ワクに行かんとするを、引込はたき込んで外ノ海の勝。
司天龍玉龍は、念入に立上りはたき込んてすかさず右さしになり挑み合い、右四ツに移り取り疲れ水入後再びつがい挑み合いしが、勝負果てず引分け。
御用木千年川は、は左筈に行くを千年引外し右をさし寄らんとするを、内ワクを試みしも極まらず突き出し千年の勝。
谷ノ音越ヶ嶽は、突き合い右さしにて寄らんとするを、は泉川にて撓めつつ蹴返し同体に流れ団扇はに上りしも物言付き預り。
高浪小錦は、左差しにて掬い投げ小錦の勝にて打出し。

○力士の病気
・西の大関大戸平、同張出し八幡山、前頭の筆頭達ノ矢の三力士は病気にて出勤せず、ために大いに東西の権衡を失いたるが八幡山は多分明日より出勤すべしという、それらのためにや東の天津風は初日より西の方へ廻りたり。

偏っている戦力を少しでも近づけるため、入幕2場所目の天津風は西方扱いとなり連日東方力士と対戦することになりました。こういった措置は珍しいですが、今後はたまに見られるようになります。八幡山は出場予定もあったようですが結局出ず、この間にも体力の限界を悟ったのか今場所限りで引退することになります。悲運の大関と言えるでしょう。土俵の方は西ノ海と小錦が危なげなく、先場所大敗を喫した鳳凰も元気です。

明治27年春場所星取表

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【2007/12/21 20:38】 | 大相撲 | コメント(0) | page top↑
明治27年春場所初日 (東京朝日新聞/明治27.1.5)

○大相撲
・前に記せし如く両国回向院境内に於ける出世大相撲は一昨三日より開場したり、早天より響き渡れる櫓太鼓の音勇ましく、とどろとどろと両國橋踏み鳴らして押出したる見物おびただしかりき、木戸前には勧進元伊勢ヶ濱へ贔屓より贈りし幟数十本朝風になびきて景気を添えたり、当日は元始祭にもあり三ヶ日の中にもあれば場内は初日にかかわらず八九分の景気にて、相変らず近衛公爵その他貴顕紳士も多く来観され、何となく賑やかに見えたり。
鬼鹿毛音羽山は、寄り切て鬼鹿毛勝。
響矢鬼ヶ谷は、立上り烈しく突合い左四ツとなりは寄らんとせしが利かず暫時挑み合い、取り疲れ水となり再びつがい揉み合いしも、勝負見えずして引分。
大達一力は、念入りに立上りはシャニムに寄らんと焦りの方すでに危うかりしに、寄り返し力は必死張り手にてのヒルム所を付入りしも、は泉川にて防ぎ双方面白く挑み合いしが遂に水となり、水入後双方大事の相撲と軽々しく進まず睨み合いとうとう引分。
若湊小松山は、突き合い捻りて若湊の勝。
外ノ海高浪は、足癖に行くをアビセられ外ノ海の勝。
越ヶ嶽司天龍は、すぐ蹴返し司天の勝。
千年川出羽ノ海は、出羽矢筈にて攻め行くを千年引き外しウッチャランとして潰れ出羽の勝は老練。
玉龍谷ノ音は、双方放れて立上りの突き掛けるを弾かんとして踏み切り玉龍の勝。
小錦大泉は、無造作に押し出しの勝。
西ノ海御用木平ノ戸改名)は、西泉川にて撓め出さんとするをは預けつつ得意の足クセにて行きしに、その足を取られて西ノ海の勝。
・(中入後)高ノ戸笹島は、トッタリにて綺麗に高ノ戸の勝。
雷山大戸崎は、寄り倒して大戸の勝。
北海天津風は、天津は敵の出鼻をハタキ込んで天津の勝。
大蛇潟大纒は、大蛇が巻込んとするを右をさし寄切て大纒の勝。
響升小天龍は、突き出し小天の勝。
海山大碇は、双方売出し相撲の事とてここぞ大事と念入に立ち上りしが、アッケなく突出しの勝。
朝汐知恵ノ矢は、立ち上るや押し切て朝汐の勝。
鳳凰大砲は、左四ツとなり揉み合い下手投げにて見事鳳凰の勝。

珍しく、新年早々の開幕となりました。新番付では八幡山は地位表示の無い張出で、事実上の大関陥落です。以前では剣山にも同様のことがありました。八幡山は初日から休場、大戸平も休場で今場所も西方は飛車角ぬきで戦わなければなりません。西は大砲が新関脇、今回もラッキー昇進と言えるでしょう。東は千年川が新小結。響舛は小結で勝ち越しながら前頭筆頭に下げられてしまいました。土俵の方は西ノ海・小錦・朝汐と東の3強が順調なスタート。

明治27年春場所星取表

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【2007/12/19 18:37】 | 大相撲 | コメント(0) | page top↑
明治26年夏場所千秋楽 (毎日新聞/明治26.6.16)

○回向院大相撲
・昨日十日目の同相撲は千秋楽としてはまづ景気よき方なり。
一力玉龍は、立上り突合い一力遮二無二突張りハズンで踏切りしに、早くも廻り込んで逆に攻込み一力の勝なりとて行司は団扇を指したり、しかるに検査役関ノ戸武蔵川一力に踏出しありとて行司を叱咤せしに八角浦風の二検査役は行司の判定を至当なりと主張し、遂に検査役の間に紛議起りしがようやくに預りとはなりぬ。
海山高千穂は、突張りて海山の勝。
笹島岩戸川は、立上るや渡し込んで岩戸川の勝。
鬼若越ヶ嶽は、右をアテ寄り切りて越ヶ嶽の勝。
梅ヶ崎勢力は、ヒネリての勝。
雷山藤ノ嶽は、敵の差し手を泉川に撓め揉合い、二本差しとなり諸に絞り水入りてのち睨合いの姿となりたり、時に降雨はしばらく天幕に支えられしがたちまちにして天幕を凌ぎ雨の洩れ来るより、初めには観客これを避けしが果ては場内一般車軸を流す如くいづれもケット、敷物、傘等にてこれを支え居り、力士は一切構わず睨合いてありしが、果てしなければ引分にて千秋楽の相撲を終わりたり。

○相撲彙報
・来る十九日より七日間、横濱に於いて興行する初日取組は左の如し。
西ノ海 若 湊 
小天龍 響 升 
今 泉 大蛇潟
海 山 一 力
大 纒 小 錦 
千年川 高ノ戸 
芳ノ山 藤ノ嶽 
越ヶ嶽 高千穂
朝 汐 鳳 凰 
出羽海 北 海 
玉 龍 雷 山

大戸平達ノ矢の一行は、明後十八日弥生館に於いて旧薩摩藩士戊辰の役に戦死せし人々の吊祭相撲を済ませ翌十九日を以ていよいよ北海道へ、また平ノ戸大碇高浪響矢等は本日より浅草公園にて四日間興行。

ここ数日は天気が下り坂で、結びの一番は雨中の相撲でしたが何とか今場所も無事に終了しました。力士たちはそれぞれの巡業先へ向かって行きます。北海道での夏巡業、船で行くんでしょうけれども大変そうですね。現地ではどうやって移動してどんな場所を廻っていたのか興味あるところです。

明治26年夏場所星取表

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【2007/12/17 21:09】 | 大相撲 | コメント(0) | page top↑
明治26年夏場所9日目 (毎日新聞/明治26.6.15)

○回向院大相撲
・曇天細雨の間に日光の現れしを以て開場せし昨日九日目の同相撲は、大戸平西ノ海と云える呼びものありとて場内の景気もっともよく、さりながらこの呼びものは西関稽古の際負傷せりとて土俵入をなさず、折角の好取組は流れたり、遺憾遺憾と観客は呟けり。
大碇越ヶ嶽は、二本差しヨリ倒しての勝。
響矢鞆ノ平は、右四ツナゲを打ちて腰砕けの勝は愛嬌。
若湊小松山は、敵の諸差しを絞り小手ナゲを試みしが、掛け倒れで小松の勝。
大泉大纒は、二本差しヨリ倒しての勝。
鬼ヶ谷外ノ海は、突合いハタキて外ノ海の勝。
高ノ戸北海は、右をハヅに当て突張りて北海の勝。
響升出羽ノ海は、左差しヨリ切りて響升の勝。
海山鬼鹿毛は、左差しヨリ切り海山の勝。
芳ノ山唐辛は、敵が諸差しで攻め来るを上手ナゲを打ちしに、足クセモタレ込みて唐辛の勝。
大戸崎天ツ風は、左四ツ大戸引付け釣身となりしも天ツ毫も動せず、大戸上手を引きハズを構えヨリ身となり防ぎ水入り、前の如くつがい大戸しきりに寄らんと競うも左右に開きて防ぎ、揉合い引分は充分。
高浪知恵ノ矢は、ヨリ切りて高浪の勝。
今泉鳳凰は、左差しスクい投げで今泉の勝。
大達小天龍は、左四ツ無理無体にヨリ切り大達の勝なり、しかるに苦情起れり、ヨリ行く時爪先を出したりと云えど踏切りにあらず、力量余りて畢竟爪先の出たればこの苦情は正当ならずと思わる。
平ノ戸千年川は、右差しヨリ倒して千年の勝。
朝汐谷ノ音は、立上り右を敵の首に巻き足クセ例の巻倒さんとせしを、はこれを解かんと堪えツツ土俵を廻り其のまま互いに競いたるが、遂に巻き倒したるが行司は団扇をに上げしより一場の紛議起りしが、預りとはなりぬ。
小錦大砲は、立上り飛び上りツツハタキ、よろよろとせし大砲は辛うじて立て直したり、左差しツツヨリ行くを大砲これを絞り手強く小手ナゲを打ちしに、ほとんど危うかりしが足クセアビセテの勝で打出したり、ちなみに云う、当場所幕内全勝は小錦今泉天ツ風の三力士なりし。

途中出場の小錦が7連勝で幕内最優秀成績となりました。新入幕の天津風は土付かずで立派な成績。とにかく東方は7勝を挙げた力士が7人もおり、東西の星取の白黒がはっきり分かれてしまう珍しい場所でした。そんな中、幕内最古参で当ブログ開始の明治13年夏場所からずっと頑張っている元関脇の鞆ノ平が現役最後の土俵、引退となりました。

明治26年夏場所星取表

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【2007/12/15 13:27】 | 大相撲 | コメント(0) | page top↑
明治26年夏場所8日目 (毎日新聞/明治26.6.13)

○回向院大相撲
・一昨日の八日目は、前日降雨なり定めし触れ大鼓ならんと思いしに、日曜なりとて細雨襲い来るも小錦大戸平と云える呼びものありとて開場せり、午後二時頃に至りては満場立錐の地なき程なり、当日来場の貴顕紳士は平常より多く見受けたり。
響矢唐辛は、敵の差し手を引張り一本背負で抜けしが浅く、かえって危うき所をモタレて唐辛の勝。
鬼鹿毛芳ノ山は、首ナゲで鬼鹿毛の勝。
大碇鳳凰は、右をアテ突出し来るを引張りてウッチャらんとするうち早くも突倒しての勝、この時行司は団扇をに指さずまたにも上げず茫然と佇立せり、高砂見かねて扇をに指し八角行司を叱咤せり、行司ようやくに団扇を指せり、しかるには容易に土俵を下らず一場の紛議を生じたるが、元より衆人の認める所なれば遂に悄然として土俵を下りたるが、行司は何ゆえに指さざりしか、宜しく譴責すべし。
大戸崎今泉は、左四ツ大戸前袋を取り押出さんとの意気込みなり、は一切構わず二三度ナゲを打ちしも大戸辛うじて防ぎ、最後に上手を引き釣りつつ下手ナゲで今泉の勝は巧みなる働き。
大達小松山は、左四ツ小松肩透しを打ちしにようやくこれを防ぎしが、ヨリ切りて小松山の勝。
大泉千年川は、突出して千年の勝。
大砲外ノ海は、立合いて敵の頬を擲きて左差しとなり攻め立るを、挟み付け小手ナゲ大砲の勝。
知恵ノ矢朝汐は、立上るや首ナゲを試みんとせしを、難なく渡し込んで朝汐の勝。
・時に俄然拍手の声湧くが如く、喧囂の間に土俵に上りたるは是れぞ当日第一等の呼びもの小錦大戸平なり、力士は各贔屓贔屓の援声と共に立上るや大戸は右を差さんと突入ればは敵の右差しを受けては到底不利なりとこれを免れんとするに手段なく、止むを得ず振り払いて体を廻し敵に背後を見せたり、鳴呼危うし大戸突出し来らば彼は脆く敗を取るべし軽挙なり、危うしと手に汗を握り居るうち早く廻り込んで左四ツにつがいし時は実に雷光閃々たる働きなり、さて力士は左四ツにて睨み合いしが大戸は右上手を引かんとするに蹴返して防ぎ、又々睨み合いの姿となりしが、は差し手を引抜き諸に絞り撓め出さんとすれば、彼もさるもの引抜きて突張り再び左四ツ、大戸又々右上手を引かんとする出バナを機として肩透しハタキ込んでの勝は満場のどよめきしばらくは鳴り止まざりし。
天ツ風小天龍は、突出して天ツの勝。
鞆ノ平大纒は、突出しての勝。
若湊平ノ戸は、突張りて若湊の勝。
鬼ヶ谷北海は、小手ナゲで北海の勝。
出羽ノ海高浪は、モタレ込んで高浪の勝。
高ノ戸響升は、突張りて高ノ戸の勝。
谷ノ音西ノ海は、立上り足クセ巻き倒しての勝で打出したり。

江戸時代には行司がどちらにも軍配を上げない「無勝負」という判定があったそうですが、この日の行司はただボーッとしていたのでしょうか?判定に困るような相撲ではないようですが・・珍プレーです(;・ω・)大関同士の大熱戦は俊敏な動きを見せた小錦に軍配、大戸平よく健闘しているのですが4勝4敗と苦しい星になりました。記者はこの一戦を記して精根尽きてしまったか、その後の取組の描写がずいぶんと淡泊ですね。
明治26年夏場所星取表

東前頭7・大碇紋太郎

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【2007/12/13 16:24】 | 大相撲 | コメント(0) | page top↑
明治26年夏場所7日目 (毎日新聞/明治26.6.10)

○回向院大相撲
・皐月相撲は例年霖雨のため休業がちにて同社会に於いても収入少なきを知れり、されば本年も初日以来降雨のため三日目頃まではすでに六七百円を喰い込みしが、四日目以来はとみに天気都合よく且つ大達大砲が呼び物となり夏相撲には珍しき景気なり、実に昨日の如きも午後一時満場立錐の地なきに至れり、好角家の貴公子は更なり高等官吏も大分来場せり。
天ツ風笹島は、左四ツ釣出して天ツの勝。
鬼鹿毛大纒は、左四ツは例の襷にてスクイはこれを残しヨリ行きしに、今度は首ナゲを試みしうち早くも前袋を取りて寄り身とはなりぬ、されば斯くつがいしゆえいづれも仕掛くる能はず、水入りてのちはなお首ナゲを打ツならんと思いしにいづれも仕掛けては六分の不利なりとて睨み合い引分を待てり、観客もこれを推し愛嬌に引分引分と促して遂に引分とはなりぬ。
小天龍大碇は、突合い押切りて大碇の勝。
若湊知恵ノ矢は、突出しにて若湊の勝。
鬼ヶ谷高浪は突張りて鬼ヶ谷の勝、の突張り烈しきため敵を突出したるのち土俵を這いたり、時に高浪はこれを機として物言を付けんとせしが検査役諾せず悄然土俵を下りしは見悪き限りなりし。
平ノ戸外ノ海は、左四ツ釣出して外ノ海の勝。
響升谷ノ音は、左四ツ閃光の間に足クセ巻落さんとせしに、もさる者一寸と堪えて切り返し同体流れたり、時に行司はに団扇を指して物言い付いて預りとはなりぬ、行司は仕掛けし相撲としてに団扇を指せしが、たとえ仕掛けたりといえども同体流れしは最後の切返しにあり、しからば団扇は誤れりに指すこと至当なるべきに。
小錦高ノ戸は、突掛け行くを逃げ廻りしも付入りて突出しの勝。
西ノ海出羽ノ海は、出羽右差しに来る所をヒネリて西ノ海の勝。
玉龍唐辛は、敵の右差しを捉え一本背負いに行きしが、これを防がんとして一寸引落し、に突足ありて玉龍の勝。
鳳凰響矢は、左四ツヨリつつヒネりて鳳凰の勝。
高千穂芳ノ山は、左四ツ棄て身にゆきしが失策にて、アビセ掛けヨリ倒して高千穂の勝。
大戸崎北海は左四ツ前袋を取り押し切りて大戸崎の勝。
大泉今泉は、左四ツ今泉は引付け外掛けモタレ込まんとする時、大泉は得意のウッチャりとなり同体流れ預り。
鞆ノ平大達は、立上り左四ツより合四ツにつがい、引付け釣り身となりは直立となりてこれを防ぎ、又々釣合し時は満場の拍手喝釆は破るるばかりなりし、力士は一生懸命ヨレばヨり返シ、揉み合い水入りてのち釣合いて競いしが取疲れ引分、両力士はいづれも躯幹高く肥満なれば四ツとなりて挑みし時は実に立派と云うの外なし。
小松山北海は、小松敵の差し手をよりハズに構え押し来る敵を突戻したるに、はすかさず付入り押し切らんとせし時は小松の体危うかりしが、辛うじて残し左差し小松上手を引いて寄り身となりしがは腰を落としつつヨリ来るを土俵際でウッチャリて小松山の勝はあっぱれあっぱれ。
大砲千年川は、右四ツは無理無体に攻付け千年支えんとせしがアビセヨリ倒して大砲の勝。
朝汐大戸平は、去る一月の場所にはヨリ切りて大戸勝を得たり、当時は得意の上手を引かざりしため脆くも敗を取れり、彼の上手は金城鉄壁なり彼今日は如何するかと贔屓は安き心もなかりしが、立上るや左四ツにつがい早くも右上手を引いたり、大戸は勢い込んでヨラんとする出バナをは上手ナゲを打ちしが極まらず、大戸大事と突付けしに最後の上手ナゲでの勝は満場喝采の間に打出したり。

鬼鹿毛(おにかげ)はたびたび襷という技を使いますが、襷反りのことでしょうか。足技や首投げもよく見せる相当なワザ師ですね。谷ノ音は非常に預かり相撲の多い力士で、毎場所必ず2~3回あります。しぶとい相撲で足技と首投げを複合させたような捨て身の技を多用するため仕方のないところです。西方もなかなか個性的な力士が揃っていて面白いと思うのですが、今場所の星取表は真っ黒な感じです。

明治26年夏場所星取表

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【2007/12/11 12:17】 | 大相撲 | コメント(0) | page top↑
明治26年夏場所6日目 (毎日新聞/明治26.6.9)

○回向院の大相撲
・昨日六日目の同相撲は前日に劣らざる景況にて相変わらず徳川公、近衛公、蜂須賀侯等の来場ありし。
鬼鹿毛玉龍は、立合い首ナゲを打たんとせしも、付入り早くヨリ例して玉龍の勝。
雷山響矢は、出バナをハタきて雷山の勝。
鞆ノ平今泉は、敵の差し手を撓め挑みて今二本差しとなりしに、は巧者に首ナゲを打ちしが廻り込みスクイて今泉の勝は興味ありたり。
知恵ノ矢芳ノ山は右四ツ足クセ下手ナゲで知恵の勝。
大達大戸崎は、当日の呼び物なれば両力士の呼声を聞くや俄然拍手四方に起り力士喧擾の内に立上り、左四ツ一寸と巻き落さんとして残り、競いて大相撲となりし時は満場の喝采破るるばかりなり、力士はなおも挑み大戸敵の寄り身を見て肩透しを打ちしが辛うじてこれを残し、水入りてのちに敵の前袋を探らんとするトタン大戸再び肩透かしに掛けたり、これを防がんとする時ハタキて大戸の勝は見栄えありし、は敵が初めに肩透かしを打ちしにもかかわらずまた前探るは何事ぞ注意すべき事なり。
小天龍千年川は、烈しく突合い小天敵を二回まで面部を擲りたり、千年憤然として突入り二本差しヨラんとするを、小天ウッチャラんとの模様あるより釣出して千年の勝。
高ノ戸朝汐は、敵の左差しを絞りナタを構えて攻付けたり、はこれを防がん様なく難なく押切りて朝汐の勝は、前日西が負けし敵討ちなりと云わねど自然面貌に表れたり。
大戸平北海は、立上るや右をアテ急激にヨリ行きし時は大戸危うかりしが残し、泉川にて撓める時引落さんとするトタン首ガケ巻き落して大戸の勝は是非なし。
大砲西ノ海は、立上り一寸と突合い手強くハタキ西ヒョロヒョロとせし時、廻り込み西立直さんとするトタン押し切りて大砲の勝は満場大喝釆なり、西の蹌々たる粗忽に非ず、彼は一枚腰なり彼にしてハタカれし際一二と歩を進めばかく脆く敗は取らず、これも質として是非なし。
高千穂高浪は、左四ツ巻き落さんとして腰砕けアビセて高浪の勝。
鳳凰天ツ風は、左四ツにつがい天ツ遮二無二に攻め立ては防ぐまでなりしが、遂に上手を引きヨリ切りて天ツ風の勝。
大碇小松山は、突張りて大碇の勝。
大纒平ノ戸右差し絞りて挑み、足クセ寄らんとするとき廻り込まんとするトタン、器用に切返しての勝。
外ノ海大泉は、汚ナシ汚ナシ数回の待ッタ観客のあくび四本柱の検査役も呆然、しかし力士は恬として恥づる色なくようやくにして立上るや、左差しスクイ投げでの勝は咄嗟の内なり、待ッタの時間十五分相撲僅か二秒なりしは可笑。
若湊出羽ノ海は、呼び込んでハタキ出羽の勝。
響舛鬼ヶ谷は、突合い二本差しヨリ倒しての勝。
小錦谷ノ音は、突出して小錦の勝で打出したり。

大砲が西ノ海を破り、横綱連敗。梅ヶ谷以来9年ぶりです。腕力は強いものの体が堅いという弱点が出てしまったようです。東方平幕の好調力士が目立ちますが、初めて上位に進出してきた外ノ海(そとのうみ)が土付かずで善戦しています。大泉ともども立ち合いにやや問題あるようですが・・小錦は序盤の休場が何だったのかと思わせるほどに快調です。

明治26年夏場所星取表

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【2007/12/10 16:11】 | 大相撲 | コメント(0) | page top↑
明治26年夏場所5日目 (毎日新聞/明治26.6.8)

○回向院大相撲
・昨日五日目の同相撲は曇天の間にようやく日光現れ、相撲社会もまづは入れ掛けの憂いなからんと稍々安心の体なりし、観客も其の気組にや正午頃より続々踵を接し午後一時頃は場内ほとんど余地なき程なり、当日は近衛公、徳川公、蜂須賀侯、板垣伯、副島伯及び金子貴族院書記官長を見受けたり。
小松山高浪は、左四ツより右四ツにつがい小松引付け釣身を見せしがは大事に防ぎ、水入りてのち小松少しく憤怒の様にて引付け釣身となりしを足クセで防ぎ、小松再び釣身となりしを敵は一生懸命に喰い下がりしを小松外掛けモタレ込まんとしてに廻り込まれたり、かくはシナシタリと満身の力を込め引寄せつつ外掛け一パイにアビセ小松の勝は実に爽快なる働きなりし。
鳳凰大纒は、立上り烈しく突合いは危うかりしが廻り込み、かぶりて足トリ渡込んでの勝は意外意外。
鞆ノ平若湊は、突合いウッチャリテ若湊の勝。
平ノ戸北海は、右をアテ寄り切りて北海の勝。
大砲響升は、左四ツ攻めヨリ来るを土俵際でウッチャリて響升の勝。
小錦大泉は、立上り左差し外ガケモタレ込んで小錦の勝は咄嗟に出たり。
高ノ戸西ノ海は、西かつて敗を取りし事あれば何となく不元気に見えたり、さて立上り西は得意の泉川を極めんと敵の左腕を捉えんとせしに、はすさりかえって其の腕先を押さえて引落しながら逃げれば、西は思わず踏切りての勝は西の粗忽なり。
天ツ風鬼鹿毛は、一寸とハタキて側面を見せ、得たりと送り出し天ツ風の勝は呆然。
響矢小天龍は、突合い突出して小天龍の勝。
大碇大戸崎は、当日屈指の相撲なれば場内は自から騒ぎ立て見えたり、さて力士は立上りはかぶり出て来るを突き返し左四ツとなり、大戸少しく付入る模様なれば一歩すさりしところ巻きヒネリで大戸の勝はあっぱれあっぱれ。
今泉知恵ノ矢は、左をアテ押出して知恵ノ矢の勝。
鬼ヶ谷芳ノ山は、突張り行くを突返し揉み合い突出して芳ノ山の勝。
千年川谷ノ音は、二本差しヨラんとするうち左四ツとなり、は敵が釣り身に来るべしとてしり込みつつあるを、すかさずヒネリて谷ノ音の勝。
出羽ノ海朝汐は、二本差しスクイ投げで朝汐の勝。
大達大戸平は、喝釆に迎えられ喧囂の間に力士は土俵に登り、は例の中腰仕切りなり、大戸エイと仕掛けたり直立なれば化粧立となるべしと観客の推測は当らず、ヨイショト応じて立上りたるにはの大胆なるに驚きたり、さて大戸充分左差しでヨリ行くをヒネリ左四ツとなりて挑み争ううち、に踏切りあり大戸の勝で打出したり。

快調に勝ち進んでいた東方の西ノ海、大碇、千年川に土がつき波乱の一日でした。西方としては意地を見せましたが、しかし西方期待の大砲や鳳凰は黒星が先行して幕内の壁にやや苦しんでいる感じです。古豪大達は大戸平も倒して完全復活なるかと期待されましたがそこまでは至らず、立ち合いがもう少しうまく行けばと惜しまれますが、これもまた大達らしい相撲と言えるのでしょう。

明治26年夏場所星取表

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【2007/12/08 17:17】 | 大相撲 | コメント(0) | page top↑
明治26年夏場所4日目 (毎日新聞/明治26.6.6)

○回向院大相撲
・一昨日四日目は朝来晴れ渡りたる好天気なり、且つ日曜なりしかば午前八九時頃より相撲場に来る者踵を接し、午後一二時に至りては流石に広き場内もほとんど立錐の地をも余さざりし、当日は貴族方、貴衆両議員、銀行員及び高等官吏等許多来場せり。
鬼鹿毛響矢は、左四ツ掬い投げでの勝。
大碇高千穂は、これぞ当日の見物なりとて満場の視線は力士の上に集まりたり、さて立上るや若手なれば烈しく突合いは左をアテ一層鋭く付け入れば、は側面に流しつつ其の腕を捉えて力任せに引落せしに、の体ほとんどトンボ返らんとして僅かにこれを残したる時は満場の喝采溢るるばかりなりし、しかしては危うきを残しなお付入り来るをトッタリで大碇の勝は活発なる相撲なりし。
高ノ戸高浪は、左四ツ高ノ戸はナゲを打ちしが力足らず、預けられ高浪の勝。
大戸崎千年川は、左四ツしばらく挑み合いしがヨリ切りて千年川の勝。
若湊谷ノ音は、一寸と突合い捲き込んで首ナゲを打ちしに敵はこれを残したり、の体斜となりしを得たりとヨリ切らんとして同体流れ、預り。
朝汐大泉は、敵の差し手を絞りツツナゲを打ちしが、ようやくこれを残しければは絞り腕をナタに構え今度は無残に攻め廻れば、の面貌たちまち変じて気息や止むるならんと観客は安き心もなかりしが、流石にこれを解き左四ツとなり上手を引き釣出して朝汐の勝は再生の思いならんと溜りでの評。
今泉大戸平は、たちまちに立上りて左四ツにつがい大戸はヨリ切らんとせしに、は互角の押合い敵し難しと差し手を抜きて首ナゲを打ちしが、少しも動せず大戸無頓着に攻め土俵際まで来りし時は早や危うく見えしが、彼もさる者足クセにて防ぎ少しく土俵を開きしに大戸イラッテ寄り来れば敵の体はさながら弓の如く、此所ぞ一生懸命なりとウッチャりて見事今泉の勝は満場呆然、団扇を指され初めて己れの勝と知りしなり。
西ノ海鬼ヶ谷は、押切りて西の勝。
小天龍玉龍は、片手突きで玉龍の勝。
大纒雷山は、突出しての勝。
鳳凰北海は、左四ツスクイナゲで北海の勝。
大砲大蛇潟は、小手ナゲで大砲の勝。
平ノ戸響升は、足クセモタレ込んで平ノ戸の勝。
大達司天龍は、天下に敵なしと云いし当時にも司天には敗を取り、殊に司天は当場所三役に昇進せし気位なればこの勝負価値なしと好角家はあえて意に止めざりし、さて力士は立上り左四ツにつがいは例の無鉄砲でヨリ行き、司天は土俵を逃げて防ぎツツありしが、は敵の逃ぐるを呼び込みヒルムところ仁王立にて見事スクイ投げで大達の勝、時に司天の体は砂に埋もれていと気の毒に思われたり、の勢いかくの如くなれば大戸平との顔触れ出でたる時は満場の喝釆は中々に鳴り止まざりし。
小錦鞆ノ平は、突出しての勝で打出したり。

今泉が必死の相撲で見事に逆転、物言いもつかないほどキレイにうっちゃったのでしょう。この今泉は飲む・打つ・買うなど素行に問題があったといい目立った活躍がこれまでありませんでしたが、ついに頭角を現してきました。豪傑力士の先輩格・大達も今場所は非常に元気なようで、連日場内を沸かせています。翌日は大戸平との対戦が組まれ、大入りが期待されます。

明治26年夏場所星取表

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【2007/12/03 20:22】 | 大相撲 | コメント(0) | page top↑
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