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明治23年春場所4日目 (毎日新聞/明治23.1.9)

○回向院大相撲
・昨日四日目は非常の大入にて、貴顕には徳川公、蜂須賀侯、土方宮内大臣、芳川内務次官、時任折田の両県知事、安藤議官の方々を見受けたり。
若ノ川楯甲は、互角の力士なれば目覚ましき働きを見るならんと観客はいづれも張肘にて立合い如何にと注目するうち、仕切も造作なく立上り左四ツ、は上手を引いてヨラんとするをは敵の差し手を振り解きて隙あらば前袋を取らんとサグリ、敵も体を落してこれを防ぎ競ううち、は一二度投ゲを打ちしが残り水入り、のち前の如くつがいは再び敵の前袋をトラんとアセりしが取疲れ引分。
上ヶ汐真力は、立合いては例の突張りとなりて押行くを、も同じく突張りて押返し撓め合ううちは一ツヒネリたるに、はこれを残さんとして敵に背後を見せければは得顔に送り出さんと組付きしを、背後に手を廻し辛くもこれを防ぎ立直して突掛け行きたる早業は中々老力士とは思われざりし、されば力士は再び突張り合いハヅにて押切り真力の勝は面白かりし。
海山谷ノ音は、右四ツより合四ツにつがい互いに押し合い競ううち水入り、のち釣り合いとなりて引分。
響升嵐山は、立上りすぐさまは左を差さんと付入りしを、は泉川に極めしがは鋭くこれを振り払い左四ツ揉合い、差し手を解きヨリて響升の勝。
小錦司天竜は、観客の未だ立上らざるべしと油断するうち司天エンヤの声より早く右を差さんと疾風の如く付入りしを、は手早く押さえエー面倒と言える様子にて突放したるに、はなお懲りずして再び付入らんと来るを、又かとの一声右手にて一突小錦の勝となり、司天の体は土俵の中央より東溜り北隅の方へ飛出したるは如何なる力なるぞと満場の嘆賞。
大達若湊は、は例の通り突掛け行くをは仁王立にて素首落しにでも行くつもりか右手を敵の首に宛てたるも、は素早く付入りたればはこれを避けんとして踏切り若湊の勝。
西ノ海平ノ戸は、左四ツは足クセ巻倒さんとせしも其のままヨリて西ノ海の勝。
大蛇潟春日野は、大蛇の右差しを泉川にて撓めしは立派なりしが、敵は差し手を預け外掛けモタレ込んで大蛇の勝なりしが、春日はオレが早く外掛けに行けばよかりしとの様子見えたり。
出羽ノ海知恵ノ矢は、立合には右を差さんと付入りしを烈しく引張り込みしゆえ肩に掛かり一本背負いにて出羽の勝は意外なる早業なりし。
今泉真鶴は、左四ツは上手を引き一寸出し投げに行きしを、はこれを残し揉合いヨリて真鶴の勝。
北海鞆ノ平は、北海は少しく周章の体にて付入りしゆえ一ハタキにての勝。
千年川大鳴門は、右をハヅに当てヨリ切りて鳴門の勝。
芳ノ山一ノ矢は、右四ツにつがい上手投げにて芳ノ山の勝と思いしに、投げを打ちしとき突き手ありとて苦情起り、預りとなりしは公平ならず。
綾浪剣山は、飛び違い左差しヨリて綾浪の勝にて打出したり。

折田知事は3日連続の観戦、うらやましいですね(;・ω・)小錦が絶好調、体は大きくなく腕力に頼る取り口でもありませんが、圧倒的です。大達は体力があった頃の相撲のクセが抜けないようで苦戦中。最近十両の取組についての記事が載っていませんが、この場所は大阪から朝汐(あさしお)が加入して十両格付け出しで出場しています。のちに名大関となる初代朝汐です。

明治23年春場所星取表
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【2007/05/30 22:16】 | 大相撲 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
明治23年春場所3日目 (毎日新聞/明治23.1.8)

○回向院大相撲
・昨日三日目は前日より一層人気よく、ほとんど立錐の地を余さざる程にて貴顕方の内には蜂須賀侯、吉井伯、九鬼宝物取調局総裁、安藤渡辺の二議官、柴原折田の二県知事等を見受けたり。
知恵ノ矢北海は、左を浅く差したるをは引張りて落さんと体を引きしに、其のまま付け入りヨリ切りて北海の勝。
出羽ノ海春日野は、右差し左をアテテ寄らん工夫なりしが、出羽は肘にて防ぎつつ挑むうち二本差しとなり、出羽は諸絞りにて極めんと意気張りしも外掛けヨリ倒して春日野の勝は大出来。
上ヶ汐芳ノ山は、芳上の右差しを上より押さえナタで攻め右手をアテ押し切らんと力を極めて攻付るを、上ヶ汐は巧者に防ぎ競り合ううち水入り、のちは面倒なりとの様子にてヨリ倒さんとせしも、流石老練上手に防ぎ引分はお骨折りなり。
鞆ノ平綾浪は、左四ツヤグラにて手強く投げ綾浪の勝なりしが、は投げられながら相変わらず笑いて土俵を下りしは愛嬌もの。
八幡山谷ノ音は、前日西を取り挫ぎたる腕なれば勇気自から凛然たり、さて力士は立上り右四ツにつがいはアビセ掛けただ一押しに攻め来るを、八幡は手早く左手を敵の首に掛け足クセ、体をソラシツツ巻落して八幡の勝は力士中の業師と云うべし。
今泉大鳴門は、造作なく立上り鳴門は烈しく突掛けしをも劣らず突出ししばらく突合ううち、鳴門五度目の突張りにがヒョロヒョロと浮足となりし時は実に危うかりしが、堪え立直して左四ツより合四ツとなりて互いに投げの打ち合い大相撲となり、水入りのち再び競り合いしも勝負つかずして引分は充分。
真力一ノ矢は、立上りは左をハヅに構えしをは引張り絞りて充分懲らせし後、勝を得んと思いしためか少し躊躇して、押切り真力の勝は案外。
大達剣山は、以前ならば市中の評判も一層人気立ちしならんが、今日の立合いはさる景気にはあらざりしも、呼出しの声と共に力士の土俵に上るや場内はにわかに喧しく、と呼ぶあればと叫ぶあり好角家はの勝は期すべからずなどと批評様々のうちは例の中腰に仕切りサーコイと云う無礼の構えにはヨイショと敵の肩を突き、も同じくヨイショの答と共に立上りしは少しく立ち遅れならんと思いしも左四ツにつがい、はヨラんと攻行くをはヨリ返しなお進んで敵の溜り際までジリジリと攻め来りし時は危うからんとの心配中、は一寸堪えスクイ投げにて見事大達の勝となりければ激浪の打寄る如く大達大達の声の中に帽子羽織の飛び来ること実に夥多しかりしが、この調子で行けばヨイがと或る人は語れり。
若ノ川鬼ヶ谷は、立合いには敵の右手を引張りて落さんとせしがも素早き力士なればこれを防ぎ、手強く敵の頬を打ちしより張り合いとなり、のち渡込んでの勝は活発なる働き。
真鶴響升は、化粧立に真鶴が待ったと云いしに一旦意気相投じたるを待ったとは不都合なり、と妙な所に柄を付けしより一場の粉議を起し、再び仕切る様子なきにぞ四本柱の検査役は東西溜の力士に掛合いしが溜りの力士は何にも言わず、其のうちにも真鶴は検査役に抗弁して角觝を取る様子見えざるに高砂堪えかね東溜りに至りて鶴の一声、遂に觝う事となりて力士は再び仕切り、立上りては左差し右で真鶴の差さんとするを押さえ無二無三にヨリ切りて響升の勝は立派なりしが、真鶴の心の内こそ思いやらるるなり。
海山嵐山は、得意の右差しとなりしをは泉川に極めんとする間もなく下手投にて海山の勝。
小錦平ノ戸は、二度目の突張での勝。
若湊千年川は、突張り合いて押切り若湊の勝。
司天竜西ノ海は、立上りは右を打ちすぐ左差しに行きしを、西は引張るやいなは敵の足を払わんとせしも無遠慮そのまま振り廻し突放して西の勝にて打出したり。

勢いのある新鋭谷ノ音に対して八幡山は得意の足技を見事に決め3連勝、さすがです。大達と剣山はかつての黄金カード、大達が勝ちましたが剣山の不調のおかげという感じもします。待ったが多いのは昔の相撲の特徴ですが響升の待ったはよほど汚かったのか(;・ω・)通常は真鶴が非難されるところですが、記者は同情的ですね。

明治23年春場所星取表

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【2007/05/27 19:05】 | 大相撲 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
明治23年春場所2日目 (毎日新聞/明治23.1.7)

・昨日の二日目はかなりの景気にて、徳川公黒田伯渡辺議官のほかに黒田議官折田栃木県知事の方々をも見受けたり。
大達芳ノ山は、は前日の角觝によれば到底むつかしかるべしとの評もありしが、力士は立上りは左差しにて一押しに勝を得んとヨリ来るを、体を斜に避けながらエンヤと体もろとも鉄砲をカマセ大達の勝。
綾浪知恵ノ矢は、右差しヨリて綾浪の勝。
響升平ノ戸は、立上りざまは無遠慮にも右をハヅにアテ土俵際まで押寄せしを、は跳返し左差しヨリ切りて響升の時。
嵐山千年川は仕切りも造作なく立上り、は左差しとなり觝わんとするをは泉川にて極めんとするを、千年はこれを振り解かんとするまもなく其のまま外掛けにて嵐山の勝。
真鶴小錦は、意表の働きにあらざれば勝を得がたしとては仕切のうち不意に突掛からんと考えしものか、が仕切るやいな矢声と共に鉄砲を出したるをはこれを受けながら手強く引落したるに、真これを残さんとする時早くハタキ込んで小錦の勝は見事。
今泉若湊は、立上りは一突にと突掛けしをマクリ返して互いに突合となりて挑むうち、の噛ませや強かりけん、の前髪より出血したるにも構わず体を落とし押し出して今泉の勝。
西ノ海谷ノ音は、左四ツ西は釣り身となりて敵の溜り際まで来たりしを、は体を変じ遮二無二ヨリツツ釣出して谷ノ音の勝は満場大喝釆。
春日野北海は、春日敵の右差しを引張り込んで泉川外掛けにて春日の勝。
上ヶ汐鬼ヶ谷は、は例の突張りにて攻付るをはこれを防がんとして腰クダケの勝。
出羽ノ海鞆ノ平は、右差しヨラんと思いし間もなく首投げを打て出羽の勝なりし、出羽に団扇を上げたるも東溜りの大鳴門出羽に突き手ありとて苦情起り、検査役は東西に掛合いしこと数回にしてようやく預りとはなりぬ。
八幡山真力は、左四ツ巻落して八幡の勝。
大鳴門若ノ川は、左を差し攻め付るを鳴門は争う色なく始終防ぎてありしうち、はハヅンで下手投を打ちしも極らずなおヨラんとアセルを鳴門は泉川にてタメ出さんと金剛力を出し攻付けしが、預りたるままヨリ倒して若ノ川の勝は大出来。
一ノ矢司天竜は、左四ツにては下より攻めければは勝手悪しと首投げを打たん心組にて右手を敵の首に巻付けたる時、早くもは下手投を試みしにこれはと少しく狼狽せし体にて残さんとして浮足となりしを、得たりとスクイて司天の勝。
海山剣山は、右四ツは上手を引きヨリ切らんとするをは体を変じて残し、下手投を二三度試みしが極らず、水入りしのち挑み合い取疲れ引分にて打出したり。

大達は復帰後の初勝利ですが、以前の力強い勝ち方にはまだ程遠いようです。新入幕谷ノ音(たにのおと)は逆転で大関西ノ海を破る奮闘。もう一人の大関剣山は病気のためか初日を休んで二日目より出てきましたが、調子が良くないみたいですね。好調は小錦で相手の奇襲にも動じませんでした。

明治23年春場所星取表

東大関・剣山谷右エ門

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【2007/05/26 00:08】 | 大相撲 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
明治23年春場所初日 (毎日新聞/明治23.1.7)

○回向院大相撲
・春霞立ち初むる空破りて櫓太鼓の音聞こゆ、スワと駈け付ける回向院の木戸前、押し合いへし合い揉みに揉まれて中に入るが否や本場所まで取ッて置きという大声の贔屓呼ばわり相手なきに拳を固め、この寒空に汗みづく、しばらくして四方の観棚とって置きの大声一時に起り、天柱折れ地軸砕けんず有様、シャッポ空中に舞い羽織土俵に降る、早や打ち出しとなればまた揉みに揉まれてヤッとの思い外に出る、ドウダ今日の相撲は、アノ取組は、こう四ツに組んだ時の体の立派サ未来の大関と見たはひが眼か、ソレからア卜がないと危く見せて敵の虚に乗じ棄て身に行ッた塩梅実にどうも・・・・・・ソレこういう塩梅式でと頼まぬ独り土俵オッと危なし傍杖打たれな関取、明日の土俵で拝見としましょうと世辞を言われて嬉しがる相撲きちがい毎年の事ながらこれも新年の賑わいなるべし。
・一昨五日は回向院本場所の初日なり、元日以来の空模様も今日は朝より晴れ渡りて時候も暖かなるうえ初の日曜、遊び場所それぞれ盛りし内に同所は顔触れもよく、且つは久しく黄疸のために挫がれたる大達も稍々全快して司天竜との立合いありというより例の好角家はが全く前日の体量に回復せしかを一見せんとて来たりしも多ければ、実に近年に見ざる大景気の初日にて貴顕方の内には相変わらず徳川公、黒田伯、吉井伯、渡辺元老院議官等を見受けたり。
山響出羽ノ海は、左四ツにて揉合いは敵の差し手を外さんと右手を働かせついに左上手下手となり、は得意に下手投を打ちしが残るトタンに一歩踏込み上手投げにて出羽の勝は観客の喜び。
大達に司天龍は観客の待ち設けたる相撲なれば、が土俵に上ると同時に観客の視線はの一身に集り、其の体量について或いは回復せりと云うあれば未だ三分の二なりと評言中々に止まざりしが、記者が見る所にては三分の二までは稍々回復せし様なるも、腰の具合にては司天に勝を得るは余程困難ならんと思いたり、蓋し司天は本年元気にて殊にが病気前にもこれと取りて勝を得し事あれば、の勝ち如何あらんと思ううち力士は早くも立上り、司天は鋭く突掛け離れて再び突掛くるをは受け身ながら付け入りヨリ切らんと挑み行くを、司天ハタキて体を廻し得意の右差しとなりしをは挟みて小手投げを打ちしが、残され浮足となりし所をスクイ投げにて司天の勝は当然なるべし、この有様にてはが以前通りに回復するは未だ容易の事ならざるべし、と或る人は云えり。
大纒平ノ戸は、左四つは右をハヅに当て体を落して攻めヨラんとアセルを、引き外して勇気鋭くはヨリ切らんとする時、敵が棄て身となりて預りは公平。
海山春日野は、春敵の右差しを泉川にて極め外掛けとなりしが、老人腰が浮いたため外ワクにて海山の勝。
大蛇潟鬼ヶ谷は、四度めの突張りにて鬼ヶ谷の勝は興なし。
大泉八幡山は面白き相撲あらんと思いの外、左差し釣出して難なく八幡山の勝。
嵐山今泉は、今得意の左を差して下より組付くを、は左様はさせじとこれをタメ外掛け解れて土俵を廻り、左四ツとなり互いに隙を狙ううちエンヤの声もろとも下手投げを打て嵐山の勝は相変わらず派手な相撲。
一ノ矢知恵ノ矢は、右差しはこれを絞り右をアテヨリて一ノ矢の勝、毎度ながら愛橋のない力士。
若湊若ノ川は、いづれも烈しき力士なれば目覚しき取組あらんといづれも楽しみ居りしに、力士は数回化粧立ちののち行司は気合を謀りて立を促す途端、若湊例の突張りに行きしが若ノ川はかねて敵の突張りを知る者からの突手と共に体を後ろにかわしたり、されば若湊はこれがため体が延び過ぎ立直す隙なく、咄嗟の内にヒネリたれば行司は若ノ川に名乗りを上ゲしが、はかくの如き立派なる勝負に苦情を付し、四本柱の年寄も東西の力士に掛合い遂に預りとなりしが、此の預りは其の当を得ざる預なり。
千年川真力は、左差しヨリて千年川の勝。
山ノ音綾浪は、左四ツは遮二無二ヨリ行き土俵際にて敵の防ぎしを外掛けモタレ込まんとする時、棄て身にて山ノ音の勝。
芳ノ山鶴ヶ濱は、左四ツは上手を引いて暫く睨み合ううち差し手を引抜きしに、敵の体前に進みしを咄嗟の中に内ムソウに行き鶴ヶ濱の勝は素早い働き。
楯甲響升は、上手投げにての勝。
鞆ノ平上ヶ汐は、毎度ながら愛嬌のある両力士なれば場内一寸と人気立ちたり、さて二者の力士は形の如くに仕切り滑稽の間に立上り、右四ツスクイ投げて上ヶ汐の勝は受けた相撲。
谷ノ音小錦は、突張りての勝。
大鳴門北海は、泉川にて鳴門の勝。
西ノ海真鶴は、手強く突放し西ノ海の勝にて打出したり。

新年のためか、珍しく相撲場の様子が冒頭で描かれています。一人で取組を再現して周囲の人にぶつかったりして迷惑がられ、関取と呼ばれて機嫌を良くする相撲キチガイ(;・ω・)気持ちはとても良く分かります(笑)さてこの場所は大関として最強を誇った大達が2年半ぶりに本場所の土俵へ上がりました。期待されましたが初日黒星、病気は良くなっても筋肉など落ちてしまっているようですね。

明治23年春場所星取表

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【2007/05/24 23:30】 | 大相撲 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
明治23年春場所新番付発表 (毎日新聞/明治23.1.3)

○大相撲の番付
・回向院大相撲番付の確定せしものを聞くに、左の如し
東ノ方   西ノ方
剣 山   西ノ海
若 湊   一ノ矢
大鳴門   小 錦
嵐 山   八幡山
鞆ノ平   響 舛
鬼ヶ谷   海 山
芳ノ山   綾 浪
平ノ戸   千年川
司天龍   今 泉
谷ノ音   常陸山
真 力   若ノ川
知恵ノ矢  黒 雲
真 鶴   上ヶ汐
春日野   北 海


        張出し
        大 達

幕下頭   幕下頭
大 泉   北 國

○横濱の相撲
・同地久方町に於て興行する三府合併相撲は、一昨日非常の大入にて立錘の余地なき程なりし由、当日の勝負並びに昨日の取組は左の如し。
 勝    負
大 濱  若 森
阿武松  (藤ノ戸代)縄 張
山 響  真 鶴
熊ヶ嶽  春日野
若ノ川  大 泉
大 達  一ノ矢


大達の客席、北海の昇進
大達は過日掲載せし予想番付に違わず本年の番付には前頭二枚目に置かるる事となりしに、其の後同力士は昔より大関が仮病その他作り事等にて欠勤するも位置を落とすなどの事なきに、自分の如き全くの病気にて欠勤せしものの位置を落とすは不都合なりと不平を言い出し、相撲協会は一向これに構わざりしが、高砂浦五郎は独り大達の説を一応無理ならぬ事に思い、昔よりの習慣も今は規約に制せられて襲い難けれど、さりとて一旦大関たりしものを欠勤のゆえのみにて前頭二枚目とは、ちとひどき処置なり、先年阪地の磯風を客席に出したる例もあれば大達も客席にするこそ然るべけれとついに別項にもある如く本年の番付面は客席と決まりたるよし、かくて幕の内に空席を生じければ其の補欠を誰れ彼れと評議中、或る年寄は北海を推薦しついに同人が幕の内昇進の事になりしと。
・また大達は病気全快後体量は未だ充分ならざるも、本人は最早東方の力士には決して負を取らぬ、いよいよ勝越せば其の時こそ復席大関となるぞや今よりお約束申しておかんと高砂等へ談判する決心なるよし。

発行された番付上では、大達は結局は「前頭」表示の張出となっています。平幕は平幕だけどちょっと別格、という雰囲気を出すグレー決着?ですが大達も納得してやる気になっているようですね。西ノ海は先場所の全勝を受けて大関へ復帰。そのあおりで6勝3敗と勝ち越した一ノ矢が関脇に陥落という気の毒なことになりました。

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【2007/05/22 03:37】 | 大相撲 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
明治22年夏場所千秋楽 (毎日新聞/明治22.5.30)

○回向院の大相撲
・昨日十日目、北海響矢は立上り左を当てヨリ切りて北海の勝。
大泉稲妻は、立上り突合いは一仕事せんと思う間もなく左差しヨリて大泉の勝。
山ノ上泉瀧は、右をアテ突張りて泉瀧の勝。
鶴ヶ濱瀧ノ音は、左四ツにつがいは勝手悪しと差し替え右合い四ツとなりて、は引寄せ釣らんとせしもは肥満にして釣る能わず、なお引寄せ投を打ちしが残り、水入りのち互いに釣合い引分は骨の折れし角觝。
大纒黒縅は、左四ツ下手ヤグラにての勝は当然。
北國大蛇潟は、右合い四ツ水入りてのち互いに敵の仕掛け来るを待つ体にて、さのみ疲れたる様子も見えざりしが取疲れて引分なりと行司の披露はあまり感心せず。
山響谷ノ音は、右四ツより合四ツとなりて攻め合い水入りしのちは一寸とヒネりしが残り、再び揉み合い引分にて千秋楽の相撲を取結びたり。

○相撲の催し
・上野公園なる華族会館に於て来月一日、また芝公園弥生社にて同四五の両日いづれも相撲の催しある由。
○横浜の相撲
剣山一ノ矢の両関にて来月一日より賑町に五日間の興行を為すと云う。

結びの一番で勝者が出なかったので弓取りはナシです。瀧ノ音(たきのおと)は後に大阪相撲へ移籍して八陣(はちじん)と改名、現在非公認ですが横綱を務めることになる力士です。長年幕内で活躍した元柏戸の伊勢ノ海、元高見山の阿武松らが今場所限りで引退。

明治22年夏場所星取表

年寄・伊勢ノ海五太夫

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【2007/05/20 22:38】 | 大相撲 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
明治22年夏場所9日目 (毎日新聞/明治22.5.29)

○回向院大相撲
・昨日九日目は、正面の桟敷には徳川公、佐々木伯、芳川内務次官、末松県治局長等、また西桟敷には板垣伯、谷子等をも見受けたり。
春日野若ノ川は、左差し春日は得たりと引張り込み泉川にて撓めるうち、敵は右をアテ突き出して若ノ川の勝。
今泉平ノ戸は、左差し攻めヨリはこれを堪えしかば敵はシテやったりと肩スカシ、残りてなお攻め付るには泉川となり撓めつつ防ぎ居るうち水入り、のちは右をハヅにアテ無残にヨリ行く時、は土俵際にて堪まらず棄てバチを打ちしが渡込んでの勝は鋭き働き。
鬼ヶ谷響升は、二三突合い左四ツにつがい、は上手縦ミツを取りゴリゴリを極めながら攻め付るゆえ、如何に剛の聞こえあるなればとて堪えざれば、其のままジリジリと押されすでに危うく見えし時、見事ウッチャッて響升の勝は喝采。
小錦真力は、難なく突張りて小錦の勝。
一ノ矢若湊は、右を差し押行くをは巻いて防がんとする間もなく、ヨリての勝。
知恵ノ矢芳ノ山は、二本をハヅにアテ遮二無二押行くを、一寸と堪え引落して知恵ノ矢の勝はあっぱれあっぱれ。
上ヶ汐嵐山は、左ハヅ突張りて嵐山の勝。
真鶴常陸山は、突合い左四ツ投げの打ち合となりしがついに下手投げにて真鶴の勝。
八幡山千年川は、八幡左差しはこれを巻かんとせしも釣出して八幡山の勝は是非なし。
西ノ海鞆ノ平は、左四ツヨリ切りて西ノ海の勝なり。

○力士の披露
芳ノ山境川増位山追手風龍門武隈、行司木村喜代治荒磯等、いづれも年寄の家名を相続したるよし、昨日それぞれへ披露せりという。

西ノ海が復活の9戦全勝を果たしました。大関から一時小結まで番付を落としましたが、ここのところの安定感は素晴らしいものがあります。剣山・大鳴門と対戦していない分を割引いて見ても目覚ましい活躍でした。また年寄名の襲名披露がこの時代は土俵上で行われています、昔は行司さんが年寄になるケースもたびたび見られます。

明治22年夏場所星取表


新聞掲載の星取表(クリックで拡大)
【2007/05/17 18:57】 | 大相撲 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
明治22年夏場所8日目 (毎日新聞/明治22.5.28)

○回向院大相撲
知恵ノ矢大泉は、立上りは諸手を差し左に前袋を取り、は上手縦三ツを引き、引寄せ釣らんとすればは体を離して競り合い、合四ツ水入りしのちはヤグラ投げを打ちしが防がれて引分。
今泉真力は、突き合い突張りて今泉の勝。
千年川上ヶ汐は、は右差しはこれを巻き込み引寄せんとせし時、は渡し込みしも敵巧者に防ぎつつ右四ツと変じ、外掛けヨリ切りて千年川の勝。
八幡山芳ノ山は、立上り八幡は左差し右をアテ、ヨラんとするをは巻き込みエンヤと堪えし其の機を外さず、巻き落して八幡の勝は巧みなる働き。
一ノ矢鞆ノ平は、立上りは烈しく突張り来る際、の体はややひょろひょろとせしが流石に立て直し、左差しスクイ投げにて一ノ矢の勝は是非なし。
響升春日野は、左差し春日は例の泉川にて撓め出さんと土俵際まで持ち行きし時、ウッチャッテ響升の勝、此の時春日野は物言を付けんとせしが検査役伊勢ヶ濱の説諭にてしおしお土俵を下りしは気の毒。
嵐山平ノ戸は、左四ツは上手を引き釣らんとする事一二度、水入りしのち外掛け押切らんと攻めしを、辛うじて残しなお揉合い引分。
若ノ川鬼ヶ谷は、いづれも烈しき力士なれば立上りは遮二無二突張り来るを、は此処ぞと土俵際にての突張を引張り込み、体を廻しながらウッチャリて若ノ川に団扇上りしが、物言付いて預り。
小錦真鶴は、右四ツ押し合いは引寄せヤグラに行かんとせしを、外掛けに防ぎ巻き倒しての勝。
西ノ海若湊は、数十度の化粧立ちありてのち、ようやく立上り突合いの左差しを泉川に極め、攻めヨリツツ土俵際にて突放して西ノ海の勝は立派なりし。

出ました数十回もの待った(;・ω・)結びの大一番ですが、西ノ海の圧勝に終わりました。西方は三役力士も元気、若手もよく伸びてきていて東方とは対照的ですね。

明治22年夏場所星取表

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【2007/05/16 17:00】 | 大相撲 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
明治22年夏場所7日目 (毎日新聞/明治22.5.28)

○回向院大相撲
・一昨日の日曜は昨今まれなる好天気にて、殊に藤牡丹等も早や季節を過ぎまた人足はこれに寄りたる姿にて見物人すこぶる多く、貴顕方の来場も大分見受けたり。
大纒知恵ノ矢は、左を浅く差し右で敵の首を巻き、隙あらば巻き倒さんず勢いなりしが、はこれを巻き解き右四ツにて互いに釣合いしが、ヤグラ投げにて知恵ノ矢の勝、知恵は此の一番の勝にて給金も直り番付も張出より内へ編入せらるるよしなれば、平常の容貌に引替え気色自から満足の体なりし。
春日野泉瀧は、は無残に突掛けしを春日引張り込んで極め付けんとアセルも、敵が突張りては逃げ廻るゆえ是非なく突合いとなりしが、ついに突出して泉瀧の勝。
真鶴芳ノ山は、立合い二本差しにてヨラんとするを、は上より挟み付けしを解き差し替え左四ツとなりて争いしが、は又々二本差し、腰を落して突張りしをも此処ぞと防ぎしが、ついに預けて真鶴の勝。
嵐山鞆ノ平は、右を差しはこれを絞り、ヨレばヨセ返さんと争ううち左四ツより合四ツと変じたる時は投げを打ちしが残り、水入りしのち土俵中央に突ッ立ちしまでにて引分。
鬼ヶ谷西ノ海は、立上るやいなは得意の諸鉄砲にて二三度突張りし際、アナヤ西は踏切りしならんと思ううち、は一層烈しく突掛け行くを、横ざまに付け入りツツ突き倒して西ノ海の勝は、の心中さこそ遺憾なるべしと思わる。
上ヶ汐若ノ川は、左差しは泉川にて極め、は右をナタに当てヨラんとすれば敵は単に防ぐのみにて土俵を付け廻りし際は喝采、水入りてのちは敵が右差しと来たら一本背負に掛けんとする様子の見えしかば、は大事に防ぐばかりにて果てしなく終に引分。
真力響升は、は左差しは上よりハヅに当て押し合いしが、ついに押し切りて響升の勝。
平ノ戸千年川は、右差しは上手を引き内掛けを残して掛けの競合となり、また投げの打合いとなりしが、ついに下手投げにて千年川の勝。
司天龍今泉は、左差し右を当て押出して今泉の勝。
小錦若湊は、力士の土俵に上ると等しく数千の観客にわかに騒ぎ立ち、めいめい贔屓贔屓の力士を連呼する声は暫時鳴り止まざりしが、力士は念入りて立上りは十八番の突張りに出掛けしが、も突張り互いに突き合ううち右をハヅに構え、無闇に突張り行くを土俵際にて小手投を打ちたるが、行司はに踏み切りありしとでも認めしかに団扇を上げしより、西溜りに居りし今泉一ノ矢は踏み切りなどは更になきのみか同体落ち来りし際より早く突き手ありたりとて、暫時談判に時を移せし末、ついに預りとはなりぬ、満場の観客はの勝なりとしきりに拍手喝采して此の預りは不満足の体なりし。
一ノ矢八幡山は、立上り八幡左差し右前袋を取りしかば、は上より揉みて引き廻さんとする時早くも足クセモタレ込んで八幡山の勝は満場どよめき渡りたり。

最も観客の多く入る中盤から終盤にかけて、なかなか盛り上がってきています。西ノ海・小錦という柱がしっかりしていることや、若く新鮮な顔触れが多いことなどが要因でしょう。また力士それぞれ得意技を持っていて個性があるというのも記事を読んでいて感じます。

明治22年夏場所星取表

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【2007/05/14 17:34】 | 大相撲 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
明治22年夏場所6日目 (毎日新聞/明治22.5.26)

○回向院大相撲
・昨日六日目は当場所第一の景気にて、徳川公、佐々木伯、安藤元老院議官その他の貴顕方をも見受けたり。
上ヶ汐大泉は、立合いに左差し肩スカシを極める心組なりしが、突っ立ちて敵の隙を窺うにも其れと推せしものかハヅに当てヨラんと猛りしより、は内ワクを試み残りて水入りし後、は二三度ヒネリしがついに引分。
響升真鶴は、烈しく突合いは二本差しにて攻め行くを、諸に絞り釣出して響升の勝。
若ノ川平ノ戸は、鋭く当たり合い左四ツにつがい、は引寄せ外掛けにて極めんとすれば敵は下より組み付き体を開いて競ううち、が浮足となりしを得たりと下手投にて若ノ川の勝は見栄えありし。
千年川真力は、突張り合い離れて千年右差し押切らんとするを、敵は上より挟み争ううち、ヒネリて真力の勝。
小錦司天龍は、定めし目覚しき勝負こそあらんといづれも肘を張り如何と思ううち、司天は大喝一声エンヤと突掛け行くを、受るが早く右を差しながら左手にて突出し小錦の勝は、其の早業に驚きたり。
若湊常陸山は、右四ツ初めは常陸すこぶる勢よく、あなや常陸が勝つかと思いしが、さはなく上手投げにて若湊の勝は是非なし。
一ノ矢鬼ヶ谷は、は得意の諸手にて突掛けるを、も同じく突返し互いに突き合いしが、は此の術の不利なるを悟りしものか敵より突き来るを引張りながら落さんとせしも、すでに突張りての勝は勇しき勝負なりし。
伊勢ノ濱知恵ノ矢は、は二本差し伊勢カンヌキにて絞りしを、預け外掛ヨリて知恵ノ矢の勝はヨシ。
今泉春日野は、左差しは泉川に絞り外掛けヨリて春日野の勝は意外なる出来事なり。
北國伊勢ノ海は、右差しヨリて伊勢ノ海の勝は是れまた間違いし相撲。
芳ノ山鞆ノ平は、二本差しは諸に極め釣出さんとする時スクイ投にて芳ノ山の勝。
八幡山西ノ海は、立上り八幡は左差し西は得顔に例の泉川を極め、撓めんとするに八幡は極められし手を苦にもせず右手に敵の前袋を取りしかば西はこれを解き右四ツにつがい、引廻しツツ押出して西ノ海の勝は立派。
大鳴門嵐山は、立上り鳴門左差しは泉川に行きしが解れ左四ツ、鳴門はスクイ投を打ち、残して上手を引き、揉み合い水入りてのち睨み合いとなりて引分は興味更になかりし。

○出稼相撲
大泉若ノ川は、当場所打ち上げ次第大達熊ヶ嶽と共に北海道へ赴くよし。

さて本場所再開、好調な力士は相変わらず白星を重ねました。しかし新入幕の大器今泉が春日野に、十両上位に躍進した北國(ほっこく)が伊勢ノ海に、いずれも引退間近の老力士に敗れたのは意外でした。特に伊勢ノ海はこの日が結果的に現役最後の土俵となります。負けた北國の方は結局幕内には一度も上がれずに終わった力士なのですが、あと1つ星が伸びていれば、つまり伊勢ノ海に勝っていれば、間違いなく場所後の入幕を果たしていたはずで惜しまれる一番です。

明治22年夏場所星取表

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【2007/05/13 13:26】 | 大相撲 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
西郷邸天覧相撲 (毎日新聞/明治22.5.25)

○天覧相撲
・皇帝陛下にはかねて仰出されし如く昨二十四日上目黒村字日向なる西郷海軍大臣別邸に行幸あらせられたり、陪乗供奉は別項に記するが如し、さて右の別邸には表裏の二門へ国旗を叉掲し警部巡査警衛をなし庭に向いたる洋館の楼上に玉座を設け楼下を大臣次官等の観覧場と定めたり、庭園の閑雅なるは別に仙境を開けるの趣あり、相撲の間には余興として鹿児島踊り、象の芸、海軍奏楽等ありて中々の盛宴なりし、また皇帝陛下より力士一同へ若干金の恩賜ありしと。
・当日来場の貴顕には黒田、大隈、大山、井上、山田、榎本、後藤等の各大臣、伊藤枢密院議長、副島、野村、川村の各枢密顧問官、樺山、芳川、辻、青木の各次官、福島少将、折田警視総監、高崎府知事、徳川公爵、勅奏任官等なりき。
春日野響矢は、二本差しを絞りヨリて春日野の勝。
北國今泉は、左合四ツ釣出して今泉の勝。
上ヶ汐伊勢ノ海は、立上り突合い上は一寸一本背負に行しが残り、右をハヅに当てヨリ切りて上ヶ汐の勝。
大泉若ノ川は、左上手下手にて攻め合いは引寄せ釣り出さんとするも、は巧者にこれを防ぎ水入りてのち揉合い引分。
真力知恵ノ矢は、右四ツ足クセ巻倒して知恵の勝と思いしが、すでにに踏切りありと物言付いて預り。
響升芳ノ山は、左差しを泉川突き放して芳ノ山の勝。
鬼ヶ谷真鶴は、二三度突合いハタキ込んで真鶴の勝。
千年川常陸山は、左差しヨリて常陸の勝。
八幡山司天竜は、右合四ツにつがい釣合い解れて右上手下手となりて、は出し投げを打ち八幡残して土俵際まで攻め来る際、敵は釣り出さんとアセルを其のまま体を預け八幡の勝。
鞆ノ平平ノ戸は、右差しヨリての勝。
嵐山西ノ海は、立上りは右を差し左手を敵の首に掛け巻倒さんとするを、突出して西ノ海の勝。
大鳴門若湊は、二本を当て遮二無二ヨリ行くを、首投げにて鳴門の勝。
小錦一ノ矢は、は二本当て攻め付るをは堪まらず首投げを打ちしが、残して左四ツ突落して一ノ矢の勝。
・此の時西ノ海小錦響升を相手に稽古をなせしは面白かりし。
平ノ戸真鶴は、左四ツ上手を引き出し投げにて平ノ戸の勝。
鬼ヶ谷司天龍は、右四ツにて揉み合ううちは出し投げを打ちしが同体流れて預り。
八幡山嵐山は、左四ツ内ワクにて八幡の勝。
上ヶ汐鞆ノ平は、右四ツ上手投げにて鞆ノ平の勝。
若湊小錦は、は例の如く突張り行くを、ハタキての勝。
一ノ矢若ノ川は、右差し巻倒しての勝にてありし。
・また弓取の役は高千穂改玉ノ井が勤めしが、相変わらず手に入りしものなりき。

場所が盛り上がっているところ、突然ですがここで天覧相撲です。相撲好きの明治天皇がついに居ても立ってもいられなくなってしまったのでしょうか(;・ω・)日本政府を代表するすごい顔触れが集まりました。小錦は本場所では入幕以来一度も負けていませんが、一ノ矢に敗れてしまいました。稽古相撲のデモンストレーション後は陛下のお好み勝負です。弓取りは引退したばかりの玉ノ井が行っています、年寄が弓取りというのは珍しいですが、慣れたものだったようですね。

西郷従道(ウィキペディア)

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【2007/05/10 23:26】 | 大相撲 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
明治22年夏場所5日目 (毎日新聞/明治22.5.23)

○回向院大相撲
・五日目はかなりの入りにて、佐々木伯その他の貴顕を見受けたり。
春日野伊勢ノ濱は、左四ツ釣出して春日野の勝。
真力大泉は突張り合い、左差しはこれを挟み小手投げに行きしを防ぎ、離れて再び突き合いついに突張りて真力の勝。
鬼ヶ谷嵐山は、いづれも烈しき力士なれば難なく立上りざまはエイと例の諸突きに行きしを、敵は少しく立遅れたるにも拘わらず土俵際にて防ぎしが、渡込んでの勝、もしをして芳ノ山ならしめば無論紛紜を起こし預りになすべきに、美しくも其のままになせしは侠客の気風頼もし頼もし。
鞆ノ平今泉は、左四ツは腰を入れてヤグラ投を打たんと一ツ振りたる際、に踏切りありと行司はに団扇を上げしかば、物言い付て預り。
司天龍西ノ海は、立上りは土俵を跳ねながら一寸とハタキしが、一切構わず付け入り突出して西の勝。
大鳴門芳ノ山は、立上り二本差し押切りての勝なりしが、畢竟鳴門の踏堪える足のすべりしよりかく脆くも敗を取りしなり。
上ヶ汐響舛は、左差しヨり切りて響舛の勝。
真鶴若ノ川は、左四ツは腰を入れ釣らんとすればは体を廻しこれを防ぎ、ついに合四ツ大相撲となり水入りてのちはヤグラ投を打ちしが極らざれば、或いは釣り又は釣られ熱湯の汗を出して働きしが取疲れ引分は満場大満足の体なりし。
知恵ノ矢常陸山は、左四ツ常陸山は無闇にヨリ来るをスクイ投げにて知恵の勝。
八幡山小錦は、当日待ち設けたる取組なれば力士が上るや喝采の響き暫時止まざりし、さて力士は立上り左四ツにつがいは上手を引きヨリ行くを、八幡これを残し合四ツとなりては少しく面倒なりと云う面体にて釣らんとすれば外掛けでこれを防ぎ、は撓めて振りしに八幡は組み付きて離れず、水入りしのち二三度釣り或いは撓めしが勝負決せず引分。
若湊千年川は、右差し押切りて若湊の勝。
平ノ戸一ノ矢は、左差しヨリて一ノ矢の勝なりし。

○天覧相撲
・西郷海軍大臣が今二十四日目黒の別荘に於て相撲を天覧に供せらるるよしは前号に記載せしが、其の取組は左の如し。
取組
山ノ 音   瀧ノ 音
鶴ヶ 濱   大  碇
大則戸   楯  甲
増位山   大蛇潟
大  纒   北  海
谷ノ 音   山  響
野州山   伊勢ノ 濱
春日野   響  矢
北  國   今  泉
伊勢ノ 海  上ヶ 汐
大  泉   若ノ 川
真  力   知恵ノ 矢
響  升   芳ノ 山
鬼ヶ 谷   真  鶴
千年川   常陸山
八幡山   司天竜
鞆ノ 平   平ノ 戸

三役
嵐  山   西ノ 海
大鳴門   若  湊
小  錦   一ノ 矢

(5.24)

二日連続で待ったを主張して預かりに持ち込んだ芳ノ山、さっそくネタにされてしまいました(;・ω・)まあ紛紜など起こさない方が普通かと思われます。小錦と八幡山の互角の勝負は見ごたえあったでしょうね。今泉vs鞆ノ平は星取表では「や」となっています、勝負がついてないのに行司が誤って勝負を止めてしまったため、取組不成立という扱いなのでしょう、新聞に掲載の勝負附からも除外されています。

明治22年夏場所星取表

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【2007/05/09 01:45】 | 大相撲 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
明治22年夏場所4日目 (毎日新聞/明治22.5.22)

○回向院大相撲
・昨日四日目はかなりの景気にて、毛利公蜂須賀侯等をも見物の中に見受けたり。
知恵ノ矢野州山は、知恵は右を差しヨラんとせしを野州は撓めツツヒネリしが、押切りて知恵の勝。
上ヶ汐今泉は、立上りは左を差し上これを押さえ土俵を廻るうち差し手をハヅに当て押切りて今泉の勝。
響舛平ノ戸は、立合も見苦しきなれば容易に立上らざるべしと観客の想像の如く、卑怯にもは数度のマッタを極めようやく立上り、は二本差しにてヨラんとするをは挟み一ツ振りて競り合いしが、は右差し手を抜きハヅに当て無残に押し切らんと金剛力を出し土俵際まで攻め付けしに、此処ぞ大事と防ぎつつ外掛けにて平ノ戸の勝はあっぱれあっぱれ。
小錦鬼ヶ谷は、立上りは一突に極めんと諸鉄砲をカマせしに、は同じく諸突き互いに突合い荒れ廻る際、は一層叫んで突張りしに体を変じ諸手突にて小錦の勝は烈しかりし。
若湊芳ノ山は、立上りざま突張り二度目にての勝なりしが、は前日鬼ヶ谷と同様の取口にて苦情を鳴らし預りとなりしかば、又々苦情を唱えさらに土俵を下りず検査役伊勢ヶ濱佐ノ山なども出て種々に其の苦情の立たざるを身振りにて説明せしも服せざるより、土俵だけの預りとなれり、もっとも星は若湊の方なりと、さもあるべし。
一ノ矢司天竜は、右差し左前袋を取り押切りて一ノ矢の勝。
大纒春日野は、右を差しヨリ来るを、ウッチャリて大纒の勝。
真力伊勢ノ濱は、左をハヅに当て押切りて真力の勝。
嵐山八幡山は当日第一の取組なれば、いづれも固唾を呑みつつ勝負如何と見てあるうち力士は無造作に立上り、左合い四ツ互いに押し合い水入り、のち睨み合いまでにて取疲れ引分となりしが、観客は彼れ力士は土俵中央に突立しまでにて、さして取疲れしとは思われずと呟きし人もありしが、此の判断は江溜の諸君に委ぬ。
鞆ノ平常陸山は、突合い左差しヨリて鞆ノ平の勝。
西ノ海真鶴は、立上りは左差しに行くを西は泉川で極めんとするに、は差し手を預けしままヒネラんとせし時、敵の絞りし手の緩みしかば手早く逃げながら引抜かんとせしを付入り、突出して西の勝。
大鳴門千年川は、千年左差し烈しく攻め付るを鳴門は泉川にて極めんとせしも、敵は防ぎツツ再び押さんとせし時、鳴門は右手を首に当て巻落し同体共に倒れたるも千年より早く体の落ちしかば行司は千年に団扇を上げたるにぞ、一条の紛議起こり東溜りの鞆ノ平はしきりに苦情を鳴らし、四本柱の検査役並びに行司等は其の判定を示したるもは少しも聞き入れず、果ては仕度部屋へ引ッ込みしかば、いつ果ツべきとも思われざりしが検査役の尽力にてついに預りとはなりし、時に桟敷に見物せし貴顕方は其のまま立ち帰られしが、独り蜂須賀侯は四十分以上の談判中この決如何と案じられ桟敷に残り居られしは、流石は好角家鳴門贔屓たる事云わずして知られたり。

躍進中の響舛ですが立ち合いに難ありのようですね。負けて記者も喜んでいるように見えるのは気のせいでしょうか?嵐山vs八幡山は決まって引き分けになる対戦です、今回もあまり勝負に行っている感じはありません。結びの一番は協議が長引いてしまいましたが、こういうケースで白黒ついた試しが無いのですからきっとお客もゾロゾロと帰ってしまったことでしょう。大の大鳴門ファンの蜂須賀さんだけは別です。

明治22年夏場所星取表

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【2007/05/07 23:35】 | 大相撲 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
明治22年夏場所3日目 (毎日新聞/明治22.5.21)

○回向院大相撲
・霖雨のため一昨日の日曜にようやく三日目を打ちしが、当日は終日曇天にて折々雨催いありしかば或いは入掛けになりはせぬかと気遣いたるが、どうやらこうやら終りまで取り結びたり、貴顕方には蜂須賀侯池田侯吉井伯その他元老院議官等を見受けたり。
野州山春日野は、春日例の如く敵の右を引張り込まんと一寸と当ッて立上りしに、野州は二本差しとなりて攻めヨラんず有様なりしが、諸に絞り珍しくもヒネりて春日野の勝。
鬼ヶ谷芳ノ山は、立上りざまは一層烈しくヨイショと二度まで突張り三度目にて極まりたるが、は此の時待ったと云いしもすでに二度目の突張を受けたれば勝手悪しと三度目に待ったを言い再び取直さんとせしが、流石に行司は承諾せず団扇は見事鬼ヶ谷に上りたり、然るには土俵を下りず溜りの今泉などが苦情を起こし、四本柱の検査役総立ちにて仲裁の労を取り、ようやく預となりしが勝星は無論鬼ヶ谷の方なるべし。
八幡山今泉は、立上り左四ツにつがい八幡は上手を引きて左手をも引かんと種々に工夫を凝らせども、はこれを挟み付け少しも動かさず互いに腰を狙い競り合ううち水入り、のち再び睨み合いしが果てしなきとて引分は不感心。
伊勢ノ海常陸山は、右四ツヨリて常陸の勝。
鞆ノ平千年川は、立合いに千年小癪にも突張らんとせし際、腰の延びたるをすかさずハタキての勝は流石に老練。
真力西ノ海は、左を引張り右外ハヅにて攻め付け難なくヨリて西の勝。
大鳴門響舛は、当日見ものなれば如何あらんと見てあるに、力士は見苦しくも十有余度ばかりの化粧立をなせし上ようやく立上ると烈しくは左差し、右で敵の前袋を探りしが鳴門は泉川で極めんと争ううち、早くも前袋を取りて押しツツヨリての勝は満場破るるばかりの喝采なりき。
知恵ノ矢北海は、右を預け押出して北海の勝。
伊勢ノ濱上ヶ汐は、伊勢左を差さんと付け入るを、ヒネリて上ヶ汐の勝。
嵐山司天龍は、右を差し鋭く土俵際まで攻め寄せしに、敵も大事と一寸と堪えたれば、外掛けモタレ込まんとせし時体をかわしながらヒネリて嵐山の勝。
平ノ戸小錦は、左四ツは無残に攻め付るを土俵際にて外掛けで防がんとせしが、アビセて小錦の勝は是非もなし。
真鶴一ノ矢は、ヨり倒して一ノ矢の勝なりし。

梅雨に入ってしまったのでしょうか、6日ぶりの開場となりました。この日も何だか待ったでもめています。この頃の力士は主張が強くて行司や審判は大変ですね。勝負の方は大鳴門が新入幕響舛に敗れる波乱がありましたが、鞆ノ平は伸び盛りの千年川を下して古豪健在を見せつけました。

明治22年夏場所星取表

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【2007/05/03 22:55】 | 大相撲 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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