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明治21年春場所9日目 (毎日新聞/明治21.1.14)

○回向院大相撲
・昨日八日目は、佐々木副島の二伯爵、徳川公爵、蜂須賀侯爵の方々を見受けたり。
鬼鹿毛千年川は、一寸面白き相撲なれば如何あらんと思ううち、力士は早くも立上り突合いながらは一寸蹴タグりしが残し、左を差し蹴返して千年の勝は是非もなし。
平ノ戸相生は、立上りは右を差したるをは左にてこれを巻きナタにて極めんと互いに揉合ううち、は渡込まんとせしも残され、解いて左四ツとなりは足クセに行きしを敵がイヤダと云うよりソンナラこうぞと首投を試みしも残され、互いに秘術を尽くし揉合ううちに痛みありて預り。
鬼ヶ谷綾浪は、突合いハタキ込んでの勝。
諏訪ノ海勢力は、立上り突合いながら蹴返して諏訪の勝。
北海黒雲は、右四ツ巻落しての勝。
若ノ川吉ノ山は、立上りながらは敵の横面を撲りたるは勇しかりしが、押し倒されて吉ノ山の勝は可笑し。
総州山藤ノ戸は、左四ツ上手投にて総州の勝。
平石出釈迦山は、突合いは遮二無二突掛け行きしに、出釈迦は到底抗するも詮なしと諦らめしものか充分土俵があるにも拘はらず敵に背後を見せ、送出して平石の勝は僥倖僥倖。
伊勢ノ濱獅子ヶ嶽は、ハタキこんで伊勢の勝。
知恵ノ矢鶴ヶ濱は、右四ツ巻落して知恵の勝は真に感心。
嵐山真力は、立上りはナタにて攻め付けしを、イヤダと残し突合い左四ツにて揉合い、釣出しての勝。
海山真鶴は、立上りは左差しにてヨリ切ると思いしに、踏越しありて海山の勝は何とやら間の抜けし相撲なりき。
・さて此の日八幡山西ノ海大鳴門一ノ矢若湊高見山西ノ海一ノ矢高見山の病気にて休となりしゆえ観客はすこぶる不満足の様子なりき。

出釈迦山はいよいよ引退決意か、あっさり敗れて最後の相撲となりました。そして新入幕で多くの熱戦を見せて活躍した相生もこれが最後の相撲、場所後に急病で亡くなってしまい相撲界にとって大きな損失でした。三役陣も最後はしっかり締めて欲しかったところ、残念ながら好取組がたくさん流れてしまいましたが全体的には活気のあった場所のようですね。
明治21年春場所星取表
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テーマ:大相撲 - ジャンル:スポーツ

【2007/02/18 11:35】 | 大相撲 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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